豊かな風土と伝統的な技術を背景に、数多くの美食を生み出しているヨーロッパ。そのヨーロッパを代表するD.O.カバとハモン コンソルシオセラーノの共同キャンペーンがEU(欧州連合)の推進する高品質農産物のプロモーション“Enjoy It’s from Europe”の一環として日本市場で展開されている。なかでもD.O.カバは世界中で支持されている、最高品質のスパークリングワインだ。その奥深さを生む背景や新たな取り組みを紹介する。
伝統的な製法によって造り出される高品質なスパークリングワインとして、スペインで唯一原産地呼称が認められているD.O.カバ。その洗練された味わいは、地中海性気候にはぐくまれた畑、環境やサステイナビリティに対する生産者の高い意識、そして瓶内2次発酵に代表される伝統と職人技に由来する。
D.O.カバの始まりは1872年。カタルーニャ州のサン・サドゥルニ・ダ・ノイア市で、初めて瓶内2次発酵によるスパークリングワインが製造された。ブドウは国際品種を含む9品種が認められているが、ほとんどがマカベオ、チャレッロ、パレリャーダの3品種を主にしたもの。これらのブドウはスペインの風土を反映した酸のある味わいで、長期熟成にも適している。

1872年にサン・サドゥルニ・ダ・ノイアで瓶内2次発酵によるスパークリングワインが造られたのが、D.O.カバの始まり。地中海をイメージさせる輝きと陽気さ、はつらつとした泡立ちが特徴だ
最高品質をもたらす、伝統製法による長期熟成

土着品種の特色を反映した伝統的な瓶内2次発酵製法は、D.O.カバを高品質スパークリングワインたらしめている要因の一つだ。瓶内熟成は最低でも9カ月。9カ月以上の熟成は「カバ・デ・グアルダ」、18カ月以上は「カバ・デ・グアルダ・スーペリオール・レセルバ」、30カ月以上は「カバ・デ・グアルダ・スーペリオール・グラン・レセルバ」、36カ月以上は「カバ・デ・グアルダ・スーペリオール・デ・パラへ・カリフィカード」に分類される。なかでもカバ・デ・グアルダ・スーペリオール・デ・パラへ・カリフィカードは特定の栽培地域で手摘みによる収穫、1ヘクタールあたりの最大収穫量が8000キログラムといった厳しい基準を設定。独自性のある最高品質のD.O.カバで、認定されているのは六つの生産者の10銘柄のみとなっている。
より厳格な規定を設け、サステイナビリティを追求

オーガニック認証を受けた畑の総面積でヨーロッパをリードしているスペイン。2022年の収穫からオーガニック認証を受けたブドウによる醸造が行われ、18カ月の熟成期間を経て25 年にすべてのカバ・デ・グアルダ・スーペリオールがオーガニックとなった
カ月以上のカバ・デ・グアルダ・スーペリオールには長い熟成期間のほかにも樹齢10年以上や収穫量の制限など、原産地呼称制度におけるスパークリングワインとして厳格な規定が設けられている。さらに2025年の生産からは、カバ・デ・グアルダ・スーペリオールのすべてのカテゴリーに対して有機栽培が義務付けられるように。生産者は「EUオーガニック認証」やCCPAE(カタルーニャ有機農業生産評議会)の認証の取得が求められている。カテゴリーに対して〝100パーセントオーガニック〞の規制を設けるのは、原産地呼称制度で初めての取り組みだ。
こうしたオーガニックへの移行の背景には、もともと生産地の自然環境が有機栽培に適していることや世界市場での需要という点に加え、これまで生産者たちが持続可能性と環境への配慮に取り組んできたことにある。生物多様性や景観の保全、水利用の最適化、二酸化炭素と温室効果ガスの排出量の削減、リサイクル・堆肥化可能なボトルや資材の使用といった施策をそれぞれのワイナリーが早くから導入してきたのだ。
伝統製法によって生み出される高品質なスパークリングワインのD.O.カバ。品質を維持しつつ革新的な取り組みを行うことで、世界のスパークリングワインの中でも一歩先を行く存在となっている。

text by Mie NAMBA


