新潟県上越市にある「岩の原葡萄園」は、1890年に“日本ワインブドウの父”川上善兵衛氏が拓いたワイナリーだ。来年、創業130周年を迎える。

画像: 「岩の原葡萄園」の入り口にある川上善兵衛氏の銅像

「岩の原葡萄園」の入り口にある川上善兵衛氏の銅像

 川上善兵衛氏が自宅の庭にブドウ園を作ったのが1890年。雪深い地元の風土に適したブドウを求めて品種改良を重ね、マスカット・ベーリーAを誕生させた。「岩の原葡萄園」は、今も川上善兵衛スピリッツを継承し、自社畑の大半はマスカット・ベーリーAだ。そのほか、ブラック・クイーンやローズ・シオター、レッド・ミルレンニュームなど“善兵衛品種”を育てている。

 

画像: マスカット・ベーリーAの畑

マスカット・ベーリーAの畑

 10月7日、神楽坂「アグネスホテル&アパートメンツ東京」にて行われた製品説明会では、今年の振り返りとともに、新ヴィンテージについての説明が行われた。

画像: 製造部リーダーの上野翔氏

製造部リーダーの上野翔氏

「売り上げは順調に推移し、特に『深雪花』シリーズが好評で前年の1.5倍に伸びています。来年の記念イヤーに向けて、引き続き知名度をあげていくとともに、品質向上に努めます」と社長の神田和明氏が挨拶。

 そして、製造部リーダーの上野翔氏にマイクが渡された。プロジェクターに「2018年 月別気象状況(高田)」を投影しながら解説する。

画像: 来年創業130周年! 日本ワインブドウの父が拓いた「岩の原葡萄園」

『こちらは、岩の原葡萄園のある高田の気象グラフです。7~8月上旬にかけて猛暑日が続きましたが、8月中旬からはゆるやかに下がりました。また、去年は空梅雨で6月、7月はほとんど雨が降らなかったのですが、お盆明けからは雨天で恵みの雨が降りました』

白ワイン3種をテイスティングした。まずは『ローズ・シオター 2018年』。

『ローズ・シオターの畑は2カ所にあります。一つは東で、岩の原で最も標高が高い(130メートル)ところにある畑です。フレッシュでクリーン、青リンゴや柑橘類のような香りを持ち、酸がしっかりとしていてシャープな味わいが特徴です。もう一方はなだらかな西向きの傾斜地で(標高80メートル)、日当たりが良く暖かいところです。完熟感がありジューシー、パイナップルやモモなどを想起させる香りがあります』と上野氏。

『ローズ・シオター 2018年』には、後者の畑で育ったブドウを使用している。

「今年は、厚みを出すために*シュール・リーを実施しました。パイナップルやバナナ、洋ナシ、モモなどの香りが次々に現れ、さらにフレンチオーク由来のナッツやヴァニラといった香りが全体を調和させます」

次に『レッド・ミルレンニューム 2018年』の辛口と甘口をテイスティングした。

「低温でじっくりと発酵させることで、クリーンで華やかな香りを表現しています」という言葉の通り、グラスからライチや柑橘類なども華やかなアロマが立ち上る。まるで、口中にブドウをほおばったかのような、ジューシーな果実味とフレッシュな酸味が広がる。

甘口はブドウの房を凍結・一部解凍した後に圧搾することによって得られる濃縮された果汁を発酵。果実の風味が凝縮、ハチミツを思わせる芳醇な香り、しっかりとした酸味もある、すっきりとした後味の甘口だ。

 2020年6月20日(予定)には、鳥井信吾氏(サントリー創業者、鳥井信治郎氏の孫)や川上洋氏(川上善兵衛氏の曾孫)などが登壇する「創業130年 記念トークセッション in 東京」を開催。また2020本限定で『創業130周年記念 マグナムボトル』を発売するなど、来年は賑やかな年になりそうだ。

岩の原葡萄園
http://www.iwanohara.sgn.ne.jp/

*シュール・リー発酵後=オリを取り除かずにそのまま春まで置き、上澄みを瓶詰めする製法

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