日本で最も長い歴史を持つ文学賞である「芥川賞」と「直木賞」は、明治8年創業の築地「新喜楽」が選考会会場だ。一方、フランスで最も権威ある文学賞「ゴンクール賞」は1903年以降、毎年11月初旬にパリ2区にあるレストラン「ドルーアン」で選考と発表が行われる。このたび、この「ドルーアン」で、シャブリワインの新ブランド「グラン・カルケール(Grand Calcaire)」の発表会が行われた。

画像1: シャブリの新ブランド「グラン・カルケール」がお披露目

新ブランドを立ち上げたのはニュイ・サン・ジョルジュの「メゾン・エドゥアール・ドゥロネ(Maison Edouart Delaunay)」のローラン・ドゥロネ氏とシャブリ、エピヌイユなどを生産する「ドメーヌ・ド・ラベイ・デュ・プティ・カンシ(Domaine de l'Abbaye de Petit Quincy)」のドミニック・グリュイエ氏の二人。

画像2: シャブリの新ブランド「グラン・カルケール」がお披露目

ローラン・ドゥロネ氏とドミニック・グリュイエ氏は従兄弟同士で、同じ1965年生まれ。1893年にブルゴーニュでネゴシアン活動を始め名声を築いたエドゥアール・ドゥロネの玄孫にあたり、ドゥロネ家の居城、シャトー・ド・シャルモンなどで幼児期を共に過ごした。だから、いつか理想のワインを一緒に作ろうと折に触れて話し合ってきたという。

画像3: シャブリの新ブランド「グラン・カルケール」がお披露目

ローラン・ドゥロネ氏は1989年に両親の経営するネゴシアンに加わったが、1990年代初頭のワイン危機に巻き込まれ1993年にブランドの売却を余儀なくされ、その後、ウノローグの資格を持つ奥さんのカトリーヌさんとともにラングドック地方で「レ・ジャメル(ヴァン・ド・セパージュ)」「アボット&ドゥロネ(AOCワイン)」の販売で成功した。そして、2017年にファミリーのブランドを買い戻し、ニュイ・サン・ジョルジュで「メゾン・エドゥアール・ドゥロネ」の活動を始め、現在ブルゴーニュの50以上のアペラシオンを扱っている。

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一方、ドミニック・グリュイエ氏は両親が取得した「ドメーヌ・ド・ラベイ・デュ・プティ・カンシ」に1990年に加わり、4.5haのブドウ園からドメーヌを徐々に拡張し、2003年からビオディナミに取り組んでいる。現在はシャブリ5ha、ピノ・ノワールを使ったアペラシオン・エピヌイユなど耕作面積は約30ha。醸造はシトー派の修道院が1212年にワインセラーとして建てた由緒ある建物を使って行われている。

画像5: シャブリの新ブランド「グラン・カルケール」がお披露目

『シャブリ2019』と『シャブリ・プルミエクリュ・フルショーム2019』はいずれも栽培家から購入したブドウを「ドメーヌ・ド・ラベイ・デュ・プティ・カンシ」で二人が共同で醸造、熟成したものだ。『シャブリ2019』はシャブリの新鮮さ、ミネラルの表現を最大限表現するために標高の高い右岸のブドウ園、とりわけ北向きのキメリジヤンのブドウ園を選んでいる。殆どをステンレスタンクで醸造し、一部樽醸造したものをブレンドしている。

一方、『シャブリ・プルミエクリュ・フルショーム2019』はシャブリのピュアーな味わいと同時に内容を追及しており、南西向きの畑を選んでいる。80%がステンレスタンク、20%が樽醸造。『シャブリ2019』『シャブリ・プルミエクリュ・フルショーム2019』ともにシャブリの平均的な質を遥かに上回るピュアーで、後口の長い洗練されたボトルだ。特に『シャブリ・プルミエ・クリュ・フルショーム2019』はエレガントで同時に力強さ、そしてシャブリの特徴の一つ塩味が最後に感じる印象に残るボトルだ。

画像6: シャブリの新ブランド「グラン・カルケール」がお披露目

初年度2019年の生産はシャブリ、シャブリ・プルミエクリュ合わせて約1万5000本とわずかだが、2020年産はグランクリュ・レ・プルーズを加えるなどして販売を拡大する。さらに将来的には、シャブリにブドウ園を購入し、「グラン・カルケール」ブランドの基礎になる原料を自社畑で確保する計画だ。

ローラン・ドゥロネ氏は「シャブリのフレッシュさとミネラルを最大限に表現した高級白ワインを目指している。10年~15年かけてこのブランドを育ててシャブリのトップグループに押し上げ、国際的に高い評価を得ることを目指したい」と語っており、ラベルを国外の一流デザイン事務所に依頼し、現代的でピュアで洗練されたものにするなど、あらゆる面にこだわりを持った製品となっている。

フランス国内の販売価格は『シャブリ2019』が17.9€、『シャブリ・プルミエ・クリュ、フルショーム2019』が32.9€。

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