1929年の世界恐慌は全世界に衝撃を与えた。シャンパーニュの大手メゾンにブドウを供給していた「トリボー・シュロッサー」は、それを機に家族経営のメゾン創業を決断し、今に至る。日本上陸は11年前だが、これまで秘密のベールに覆われていた。このほど来日したエクスポートディレクターのローラン・デュメニル氏が“日本におけるお披露目元年”との思いを込めてメゾンについて語った。
ルクセンブルク出身のルネ・シュロッサーがルーツのシャンパーニュメゾン「トリボー・シュロッサー」は、現在4代目が継承。兄のセバスチャンは醸造、弟のヴァランタンは栽培を担当する。彼らの手法はバリック樽、フードル樽、ステンレスタンクを組み合わせた醸造・熟成技術の知的なブレンドで、ドザージュも少なめ。小規模メゾンならではの丁寧さを感じさせる味わいが特徴だ。
生産しているシャンパーニュのレンジは3つ。「8テロワール」は4つの自社畑と4つの契約畑のブドウを使用。「ブリュネ・ヴァレー」は自社畑100パーセントですべてオーガニック。「プレステージ」はメゾンの歴史を反映させたタイプだ。
年間生産量35万本。このうち70パーセントを世界40カ国に輸出している。1位カナダ、2位米国、3~5位はイタリア、オランダ、ベルギーが年によって変動し、日本はおおむね6位で数量は約3万本。
日本の輸入取り扱い元はキャビアやトリュフ、イベリコ豚などの輸入・販売および国産食材を専門にしており、唯一取り扱っているシャンパーニュがトリボー・シュロッサーだ。取引先はレストランが主体のため、ワインショップの棚に並ぶことはほとんどなかった。秘密のベールの謎はここにあった。
今回、トリボー・シュロッサーのラインナップがあらためて披露され、そのこだわりのクオリティーが証明された。
text & photographs by Fumiko AOKI
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