元メルシャンのチーフワインメーカー 味村興成氏がエノロジストを務める「ドメーヌ・コーセイ」ではメルロに特化したワイン造りをしている。長野県塩尻市が世界に誇るメルロである。
ミスター・メルロのチャレンジ
2020年に初リリースされた『片丘メルロ 2019年』は、フレンチオークとアメリカンオークの2タイプあり、フレンチオークは昨秋、フランス・ボルドーで開催された品評会「ボルドー酒チャレンジ 2021」で栄えある最高金賞を受賞、アメリカンオークも銀賞を獲得するという快挙を成し遂げた。
ワイナリー設立後の初ワイン、樽違いのメルロのダブル受賞は、今回リリースされた2ヴィンテージ目の『片丘メルロ 2020年』に大きな弾みをつけた。メルロに精通する味村エノロジストの手腕にも、さらなる期待が高まっている。
片丘メルロのスタイル
原料ブドウは長野県塩尻市片丘にある自社農園で栽培されたメルロ。収穫したブドウはステンレスタンクで発酵後、フランス産材のオーク樽とアメリカ産材のオーク樽を用いた2タイプを醸造。フレンチオークは、シルヴァン/Sylvain、ナダリエ/Nadalie、ルモン/Remond、 マルサネ/Marsannayの各樽の個性の相乗効果を反映させ、アメリカンオークはカントンを使い、片丘メルロとの絶妙な相性を表現している。11カ月間の樽育成を経た後、無ろ過で瓶詰め。
2020年ヴィンテージは、新樽率100パーセントだった前ヴィンテージと異なり、新樽と一空樽で仕上げた。2種の片丘メルロは、異なる樽から醸し出される、緻密で清涼感のある味わいが楽しめる。
text & photographs by Fumiko AOKI