シャンパーニュ「ローラン・ペリエ」傘下の「ドゥラモット」と「サロン」は早くから日本市場に根を下ろし、多くのファンを獲得している。このほど、フランス在住の日本人レストラン関係者、ソムリエ、ジャーナリストなどを本社に招き、両社の歴史、生産哲学を説明するとともに、現在『シャンパーニュ・ドゥラモット』が扱っているシャンパーニュ、そして『シャンパーニュ・サロン』の新しいミレジム2012年などを料理に合わせて味わった。
「シャンパーニュ・ドゥラモット」と「シャンパーニュ・サロン」のディディエ・ドゥポン社長は、大の日本ファン!
1997年からシャンパーニュ・ドゥラモットとシャンパーニュ・サロンを率いるディディエ・ドゥポン社長は1964年、ヴァレ・ド・ラ・ロワール、トゥールに生まれた。ビジネススクールで学んだ後、1986年にローラン・ペリエ社に入社。販売部門で実績を残し、ベルナール・ド・ノナンクール社長からローラン・ペリエグループに加わったばかりの二つのメゾンの采配を任された。
小柄で繊細な感覚を持つドゥポン社長は日本の大ファンで、1年に数回、すでに72回の訪問を重ねていたが、近年はコロナ禍で完全に足止めされてしまった。しかし「久々の日本訪問を計画しており、日々わくわくしている」と話す。
『サロン』で使用するのは、メニル・シュル・オジェ村で作られるシャルドネだけ。優良な年にのみヴィンテージを記して販売
シャンパーニュ・サロンはパリで実業家として成功したシャンパーニュ出身のエメ・サロンが20世紀初頭に自家用に造ったシャンパーニュが始まり。エメが食事に招いた友人の間でその特別な味わいが話題になり、次いで、当時のガストロノミーの中心だった、「マキシムドパリ」のハウスシャンパーニュとして使われ、ワイン愛好家に知られるようになったと言われる。
原料は「ジャルダン・サロン」と呼ばれるコート・デ・ブランの1ヘクタールの畑と、エメ・サロン自身が選んだメニル・シュル・オジェ村の19の小規模な区画で栽培されたブドウのみ。また、シャンパーニュは一般的にさまざまなワインをブレンドして造るが、サロンはメニル・シュル・オジェ村で作られるシャルドネだけ、しかも優良な年にのみヴィンテージを記して販売されることも当時としては稀で話題になった。その伝統は今も引き継がれている。
市販のためにメゾン・サロンを設立したのが1920年、最初のミレジムが1921年。今世紀に入って発売されたミレジムは2002年、2004年、2006年、2007年、2008年。
『サロン』の2008年ヴィンテージはマグナムの生産のみ
2008年は1928年、1966年、1982年などと並ぶ偉大なミレジムで、加えて収穫量が少なかったため、マグナムのみにとどめた。そして、2008年ヴィンテージのマグナム1本と2004年のボトル2本、2006年のボトル2本、2007年のボトル2本のセット販売のみとした。
サロンのカーヴの奥に古いミレジムを保管した一画がある。最も古いボトルは1928年だ。ディディエ・ドゥポン社長が引き継いだ時4本残っていたが、特別な試飲会でこれまで2本を抜栓し、現在残っているのは2本のみ。
コート・デ・ブランのシャルドネを使った繊細なシャンパーニュ『ドゥラモット』
サロンと同様、ドゥラモットもコート・デ・ブランのシャルドネを使った繊細なシャンパーニュとして知られている。1760年にランスで創立されたシャンパーニュ最古のメゾンの一つ。昼食会では、『シャンパーニュ・サロン 2012年』『シャンパーニュ・サロン 1997年』とともに、『シャンパーニュ・ドゥラモット・ブリュット』『シャンパーニュ・ドゥラモット ブラン・ド・ブラン 2014年』『シャンパーニュ・ドラモット・ロゼ』がサービスされた。
『シャンパーニュ・ドゥラモット・ブリュット』はシャルドネ60パーセント、ピノ・ノワール35パーセント、ムニエ5パーセント。シャルドネの繊細さとピノ・ノワールの力、ムニエの果実味がよく調和して口当たりが良く、本当に何杯でも飲める美味しいシャンパーニュだ。
『シャンパーニュ・ドゥラモット・ブラン・ド・ブラン 2014年』はシャルドネ100パーセント(メニル・シュル・オジェ、アヴィーズ、オジェ、クラマン、シュイ、オワリー)で、コート・デ・ブラン地区に拠点を置くメゾンらしい個性的な製品に仕上げてある。特にシャルドネがもたらす繊細な柑橘類のアロマに包まれたフレッシュさとミネラル感、複雑さ、伸びのあるボリューム感が心地よく素晴らしい余韻を残す。
特に印象に残ったのが『シャンパーニュ・ドゥラモット・ロゼ』だ。サーモン色に近づいたほのかなバラ色の色調と質の良いピノ・ノワールがもたらすイチゴ、フランボワーズなど赤い果実の繊細な味わいは、数あるシャンパーニュロゼの中でトップ水準だ。個人的に最良のロゼと評価している『ドン・ルイナール・ロゼ』に近いニュアンスがあると感じた。