1818年の創業以来、家族経営を貫いている「ビルカール・サルモン」。メゾンを代表する三つのトップキュヴェが『キュヴェ・ニコラ・フランソワ・ブリュット』『エリザベス・サルモン・ブリュット・ロゼ』『キュヴェ・ルイ・サルモン ブラン・ド・ブラン』であり、フラッグシップの『クロ・サンティレール』はシャンパーニュラヴァー垂涎のアイテムとして君臨している。
「ビルカール・サルモン」の新ヴィンテージ発売を記念して、6代目当主アントワン・ビルカール・ローラン氏を案内役にしたセミナーが開催された。
シャルドネのスタイルを比較
第1フライトでは、ブラン・ド・ブランに対するメゾンの考え方を示す意味で、すでに発売しているノン・ヴィンテージと、新ヴィンテージのルイ・サルモン2008年を比較しながら、スタイルについて検証した。
ブドウはともに、コート・デ・ブラン地区のシャルドネ100パーセントで、四つのグラン・クリュを使用。ルイ・サルモンの場合はフィネスと塩味がポイントのシュイイを40パーセント、酸味とポテンシャルのクラマンを33パーセント、ストラクチャーと複雑味のメニル・シュル・オジェを20パーセント、力強い個性のアヴィーズを7パーセントの割合でブレンドし、古樹や最上級の区画を選択している。
ノン・ヴィンテージは若樹のブドウ主体で、前述の4村をブレンドしているが、比率はルイ・サルモンと異なる。ベースワインは2017年、リザーヴワインは33~40パーセントの割合で、2016年と2015年を使用。イーストに関しては、「99パーセントはワイルドイーストで、あとの1パーセントは非公開」とアントワン氏。
冷涼年の2008年はシャルドネの出来がとても良く、メゾンが求めるピュアさとミネラル感を備えたヴィンテージになった。アントワン氏は「シャンパーニュ地方では、1988年や98年のように、“8”が付く年は特筆できる。08年も素晴らしい!」とコメント。ルイ・サルモンの主体となるのはシュイィであり、骨格あるメニル・シュル・オジェを控えめに使うことで、デリケートさを反映させている。
樽だけで造る『クロ・サンティレール』
クロ・サンティレールの初ヴィンテージは1995年。今回リリースされた2006年は7番目のヴィンテージである。暖かく乾燥した年で、例年同様、9月20日から収穫が行われた。生産量は約6000本。「典型的なヴィンテージ」とアントワン氏。
text & photographs by Fumiko AOKI
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