イタリア北部のヴェネト州を代表する白ワイン・ルガーナと、赤ワイン・アマローネ。この両方を極めているのが「ゼナート」だ。その魅力と、ワインをより美味しく楽しむためのお勧めのアッビナメント(※)について、イタリアワインに精通する藤森太一ソムリエに伺った。
※イタリア語で、ワインと料理の相性、ペアリング

土着品種トレッビアーノ・ディ・ルガーナを見いだす

画像: ゼナート一家。中央がカルラ・ゼナートさん。息子のアルベルト氏、娘のナディアさんと

ゼナート一家。中央がカルラ・ゼナートさん。息子のアルベルト氏、娘のナディアさんと

ゼナートの創業は1960年。初代セルジオ・ゼナート氏が、ヴェネト州ルガーナで立ち上げた。イタリア最大面積の湖・ガルダ湖の南で、土着品種トレッビアーノ・ディ・ルガーナの魅力と価値を見いだし、白ワインを生産。セルジオ氏が造り出したワインは世界にも通用する偉大なワインへと発展し、67年にはルガーナがDOC(統制原産地呼称)となるなど、ルガーナ・ワインの発展に大きく貢献している。

ルガーナで白ワイン造りに成功したセルジオ氏が、続いて着手したのがヴァルポリチェッラでのアマローネ造り。完熟したブドウをアッパッシメント(陰干し)して水分を蒸発させ、糖度を上げて醸すアマローネを極めてきた。さらに、アマローネの搾りかすを加えて再発酵させるリパッソワインの復興に力を注いだことでも有名だ。

理想のワインを追求し、絶え間ない努力を積み重ねてきたゼナート。その結果、ヴェネト州を代表する白ワイン・ルガーナと赤ワイン・アマローネの両方で、最高級品質のワインを生み出す稀有なワイナリーとして、高く評価されることとなった。

今年で創業63年目を迎え、セルジオ氏が栽培と醸造に注いできた情熱と愛情は、妻のカルラさんと、子どものアルベルト氏とナディアさんが継承。 “ルガーナの魂”と“ヴァルポリチェッラのハート”が詰まった気高く清らかなワインは、世界のワイン愛好家を魅了してやまない。

どのレンジのワインも、クオリティーが高く魅力的

画像: 表参道「misola」の1階にあるワインショップ「SASALA」のワインディレクター 藤森太一氏

表参道「misola」の1階にあるワインショップ「SASALA」のワインディレクター 藤森太一氏

「イタリアワインの魅力は、テロワール、品種、醸造技術などの多様性や多彩さが、ワインの味わいにストレートに表現されているところですね」と藤森氏。昨年秋、「ゼナート」のメーカーズディナーを「misola」で開催している。まずはゼナートの印象から、お聞きすることに。

「何といってもラインナップの充実ぶりに感動しますね。ルガーナもヴァルポリチェッラも、エントリークラスからスタンダート、ハイレンジと網羅されていて、しかもどれもハイクオリティーです」
さらに「スパークリングワインやロゼワインも、魅力的なものがそろっているので、ディナーとのペアリングを考えるのがとても楽しいんですよ」とほほ笑む。

メーカーズディナーにはアジアエリアのセールスマネジャー、マルコ・ミラーニ氏が来日。
「大らかで気さくな方で、ゼナートファミリーが造っているワインにとても誇りと自信を持っていました。“私たちのワイン、美味しいでしょ!”という感じで(笑)。ワインへの愛情がダイレクトに伝わってきましたね」

ルガーナのワインと料理のアッビナメントを検証する

ここからは藤森氏が、ゼナートのワインと「misola」の料理のアッビナメントを紹介する。

Abbinamento1
『ルガーナ・セルジオ・ゼナート・リゼルヴァ』×「ムール貝のクロケッタ」

画像: ワイン『ルガーナ・セルジオ・ゼナート・リゼルヴァ』 品種:トレッビアーノ・ディ・ルガーナ100%

ワイン『ルガーナ・セルジオ・ゼナート・リゼルヴァ』

品種:トレッビアーノ・ディ・ルガーナ100%

1本目は白ワイン『ルガーナ・セルジオ・ゼナート・リゼルヴァ』。香りはパイナップルのような南国系果実に、ほんのりとヴァニラのような樽のニュアンスも表現されている。
「味わいはドライでミネラリー。全体としてシャープな印象で、ナッツの風味も少しあります。何より、余韻まで長く続く酸が素晴らしいですね」
合わせた料理は、アミューズの「ムール貝のクロケッタ」。ムール貝をペースト状にして形をまとめ、トウモロコシ粉を付けて揚げたものだ。
「磯の香りをまとったムール貝の旨味がストレートに感じられます。この強い旨味をワインがしっかり受け止め、熱々の料理を清涼感で包み込むというイメージですね」

Abbinamento2
『リパッサ・ヴァルポリチェッラ・リパッソ・スーペリオーレ』×「地鶏のインヴォルティーニ、ゴルゴンゾーラソース」

画像: ワイン『リパッサ・ヴァルポリチェッラ・リパッソ・スーペリオーレ』 品種:コルヴィーナ・ヴェロネーゼ85%、ロンディネッラ10%、コルヴィノーネ5%

ワイン『リパッサ・ヴァルポリチェッラ・リパッソ・スーペリオーレ』
品種:コルヴィーナ・ヴェロネーゼ85%、ロンディネッラ10%、コルヴィノーネ5%

続いては『リパッサ・ヴァルポリチェッラ・リパッソ・スーペリオーレ』
「アマローネの雰囲気をリーズナブルに楽しめるのがリパッソの魅力です」と藤森氏。
ブラックチェリーのような黒系果実の香りに「カベルネ・ソーヴィニヨンに感じるような深みのあるニュアンスも印象的です」
程よい酸味で、ビロードのような滑らかなタンニンが心地よく、余韻も長い。

「地鶏のインヴォルティーニ、ゴルゴンゾーラソース」は、キノコを地鶏で巻いて火入れした後に、表面をパリッと焼き上げ、ゴルゴンゾーラチーズのソースで味わう一皿。
「タンニンがさらっとしているので、白身肉の鶏を選びました。サワーチェリーのようなワインのほのかな甘さを、ゴルゴンゾーラの塩気が引き締めるという組み合わせです」

Abbinamento3
『アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ』×「アマローネのリゾット、馬肉のブレザオラ」

画像: ワイン『アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ』 品種:コルヴィーナ・ヴェロネーゼ80% 、ロンディネッラ10%、オゼレータ5%、クロアティーナ5%

ワイン『アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ』
品種:コルヴィーナ・ヴェロネーゼ80% 、ロンディネッラ10%、オゼレータ5%、クロアティーナ5%

最後はやはりアマローネ。『アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ』の香りは、プラムやブラックベリーにオリエンタルなスパイスも。
「鷹の爪のような独特な香りも。味わいはドライですが、レーズンを思わせる甘味を伴い、伸びやかな酸もあります」
角が取れたタンニンが心地よく、余韻はとても長い。

このワインには、ヴェネト州の伝統料理「アマローネのリゾット、馬肉のブレザオラ」を合わせた。アマローネを入れたブロード(だし)で米を炊き上げたところに、グラナパダーノチーズをたっぷり加える。さらに馬肉のブレザオラ(生ハムの一種)をトッピング。文字通りアマローネつながりだ。さらに「粘性の高いワインとリゾットの食感。共通したテクスチャーも、このアッビナメントのポイントです」

アッビナメントの魅力を探り、あらためてゼナートの印象を尋ねてみた。
「全体的に酸味の存在感があって、それゆえすべてエレガントな味わいに仕上がっている。酸が感じられると料理との相性もより広がります。幅広い料理に合わせられるので、レストランで重宝するのはもちろん、家庭で開けても特別な時間を堪能できますよ」
今回紹介したワインは「SASALA/misola」で楽しむことができる。

画像: 「ルガーナ」と「アマローネ」を世界に知らしめた
ヴェネトの至宝「ゼナート」

取材協力/「misola」
表参道の閑静な路地裏にあるレストラン。ヴェネト州で研鑽を積んだ石濵一則シェフが、地元料理をガストロノミーに昇華したイタリアンを供する。セラーには1500本のワインが並ぶ。ペアリングコースも人気。

DATA
東京都港区南青山3-10-38 2F
TEL. 03-3479-3700
営業時間/ランチ12:00~14:30(LO13:00) 、ディナー18:00~22:00(LO19:30)
休日/日曜・月曜・祝日
https://mi-sola.com/

ワインの問い合わせ先:スリーボンド貿易㈱ TEL. 03-5447-6991

画像: Abbinamento3 『アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ』×「アマローネのリゾット、馬肉のブレザオラ」

text by Atsushi TOGAMI
photographs by Kentaro TAKIOKA

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