注目のワイン産地、山梨県北杜市

八ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、茅ヶ岳の三つの高い山に囲まれた南八ヶ岳エリアに位置する山梨県北杜市は、甲府市から北西におよそ25キロの所に位置する、標高700~1300メートルの山麓地帯。地球温暖化が進む今、標高が高く冷涼な気候からブドウ栽培の適地として注目され、この15年ほどでヴィンヤード(*1)とワイナリーが増えている話題のエリアだ。

そんな北杜市には、宿泊施設、見学施設を備えたヴィンヤードやワイナリーのほか、自然に囲まれたロッジや美術館がある。新宿からおよそ2時間と都内からのアクセスも良い。

今回、三つのヴィンヤードとワイナリーを中心に巡る、北杜ワインツーリズムに参加した。静かで穏やかな時間が流れる北杜市の魅力をお届けする。(その②はこちら

*1 本記事では、自身の醸造所を有さない場合、ワイナリーとわけてヴィンヤードと表記する

小牧ヴィンヤード

新宿から電車に揺られることおよそ2時間、山梨県の小淵沢駅のホームに降り立つ。視界の先に見える八ヶ岳を眺めながら、駅からさらにタクシーで5分ほどの所に「小牧ヴィンヤード」はある。

画像: 「小牧ヴィンヤード」と併設の「ワインカフェ・メルル」の看板が並ぶ

「小牧ヴィンヤード」と併設の「ワインカフェ・メルル」の看板が並ぶ

画像: 八ヶ岳から絶えず吹き込む冷涼な風が畑の気温を下げる。八ヶ岳は宮沢賢治の代表作『風の又三郎』の舞台といわれている

八ヶ岳から絶えず吹き込む冷涼な風が畑の気温を下げる。八ヶ岳は宮沢賢治の代表作『風の又三郎』の舞台といわれている

小牧ヴィンヤードは、オーナーの小牧康伸氏がソムリエとして勤めていた「帝国ホテル」を2003年に退職後、奥さまのミチ子さんと始めた滞在型ヴィンヤード。約1ヘクタールの畑でメルロやカベルネ・ソーヴィニヨン、ソーヴィニヨン・ブランなどを栽培する。現在は県内の3ワイナリーに醸造を委託しているが、来年には自身のワイナリーを立ち上げるため準備中だ。

オーナーの小牧康伸氏と奥さまのミチ子さん。小牧氏は「妻とイタリアに旅行した際、現地のアグリツーリズムに感動し、自分たちもやってみようと思った」と滞在型ヴィンヤード設立の経緯

宿泊施設やレストランを有し、ワインセミナーなどのアクティビティーも充実しており、北杜のワインツーリズムの拠点にぴったり。宿泊は1日1組限定なので、自分たちだけの時間をゆったりと過ごすことができる。

プランによっては畑の横にあるグランピングエリアが利用可能。例えば、2世帯で宿泊して1世帯はホテルで、もう1世帯はテントで過ごすという使い方も良さそうだ。
宿泊者限定で焚き火体験(*2)も用意されている。凛とした夕暮れ時、焚き火で体を温めながら、ワインとともに甲斐駒ヶ岳に沈んでゆく夕日を眺める……。ここでしか味わえない何とも贅沢なひと時だ。
*2 オプション利用。2日前までの予約制。畑散策、焚き火サービス、ワインテイスティング(2種)、おつまみが付いて4950円(税込)

画像: 冷える体を焚き火で温めながらワインを味わう。この日に用意されたのは「ドメーヌ・パスレル」の『パスレル・ロゼ 2022年』(左)と『パセレル・ブラン 2022年』

冷える体を焚き火で温めながらワインを味わう。この日に用意されたのは「ドメーヌ・パスレル」の『パスレル・ロゼ 2022年』(左)と『パセレル・ブラン 2022年』

小牧ヴィンヤードでの滞在の醍醐味の一つが、奥さまのミチ子さんが作るお料理とワインのペアリングだ。この日のディナーには6品の料理と小牧ヴィンヤードのワイン3種が登場した。

「甲斐サーモン富士の介 スモークサーモン」は富士山をイメージした1品。スモークした山梨県のブランドマス「富士の介」で、アボカドで和えたタマネギを巻いている。合わせたのは『プロローグ ソーヴィニヨン・ブラン 2022年』。酸とミネラル感が豊かで、厚みのあるソーヴィニヨン・ブランだ。

『プロローグ ソーヴィニヨン・ブラン 2022年』品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%/委託醸造先:本坊酒造 マルス穂坂ワイナリー/価格:5280円(税込)

「甲州信玄豚 生ハム」には『エシカ 2022年』を。バルベーラとメルロをブレンドしたチャーミングな1本だ。亜硫酸を一切使用しない造りで、やさしくもしっかりと感じられる渋味が魅力。

画像: 『エシカ 2022年』品種:バルベーラ62%、メルロ38%/委託醸造先:くらむぼんワイン/価格:4510円(税込)

『エシカ 2022年』品種:バルベーラ62%、メルロ38%/委託醸造先:くらむぼんワイン/価格:4510円(税込)

続いて供されたのは「小淵沢産チーズの盛り合わせ」。ナガノスイートにのせたカマンベール、スモークしたプロヴォローネ(イタリア生まれのセミハードタイプのチーズ)、チェダーが盛られている。すべて、北杜市産ミルクだけを使用した「チーズ研究所」が製造したチーズだ。プロヴォローネにエシカを合わせると、バルベーラの酸味がチーズのコクに溶け込みとても美味。

小牧ヴィンヤードが取り寄せている八ヶ岳高原野菜も非常に美味しく、「八ヶ岳のズッキーニのフライ」はぎゅっと旨味の詰まったズッキーニの味わいがたまらない。白ワインとブルーチーズのソースが添えられ、レモンをお好みでかけていただく。合わせた『プロローグ メルロ カベルネ・フラン 2021年』は、メルロ主体にカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランをブレンドしたボルドータイプのワインだ。赤い花を思わせる香りと穏やかなタンニンが感じられ、この軽やかさが食事との相性を高める。

画像: 『プロローグ メルロ カベルネ・フラン 2021年』品種:メルロ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン/醸造:ルミエール ワイナリー/価格:6050円(税込)

『プロローグ メルロ カベルネ・フラン 2021年』品種:メルロ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン/醸造:ルミエール ワイナリー/価格:6050円(税込)

プロローグとともに「信州ポークの赤ワイン煮/赤ワインとバルサミコソース」をいただいた後は、アイスとコーヒーでほっとひと息。

澄んだ空気、満点の星空、美味しい料理……。そのそばにはワインがある。小牧ヴィンヤードを訪れれば、ゆったりとした心を取り戻せる特別な1日が待っている。

小牧ヴィンヤード
山梨県北杜市小淵沢町8033-1
TEL. 0551-36-5188
https://komaki-vineyard.com/
【営】11:00~18:00(当面の間ショップ以外は予約制)/ショップカフェは4月~12月の金曜・土曜・日曜・祝日/宿泊は通年(1日1組限定)
【休】1月~3月休業 ※休業中の予約は応相談

【お勧めスポット】天然温泉で癒やされる「ロッジ・アトリエ」

北杜ワイン旅の拠点としてもう一つお勧めしたいのが、温泉宿「ロッジ・アトリエ」だ。

画像: 夏も冷涼な小淵沢は、古来より馬の飼育が伝統的に行われてきた「馬のまち」でもある。宿の玄関には幸運のシンボル・馬蹄が飾られている

夏も冷涼な小淵沢は、古来より馬の飼育が伝統的に行われてきた「馬のまち」でもある。宿の玄関には幸運のシンボル・馬蹄が飾られている

どこか懐かしく、温かな雰囲気のこちらの宿には、八ヶ岳の豊かな源泉から直接引いた天然温泉が備えられている。貸し切りの家族風呂スタイルだ。

パンやスープ、サラダなど盛りだくさんの朝食は地元食材にこだわる。高原ではぐくまれた新鮮な八ヶ岳牛乳や、宮内庁ご用達の挽きたてコーヒーなどが楽しめる。棚に並んだ中から好みのカップでいただこう。

宿のラウンジや廊下など至る所に飾られているのは、オーナーが集めた3000枚を超えるレコード。自宅のような和やかさとアートが融合したおしゃれな空間で、旅の疲れを癒やしたい。

画像: (左上)和室、洋室など計11部屋が用意されている (右上)オーナーが集めたレコードが宿を飾る (左下)心地いい音楽が流れるラウンジ (右下)地元食材をふんだんに使用した朝食。コーヒーは「珠屋小林珈琲」によるオリジナルブレンド

(左上)和室、洋室など計11部屋が用意されている (右上)オーナーが集めたレコードが宿を飾る (左下)心地いい音楽が流れるラウンジ (右下)地元食材をふんだんに使用した朝食。コーヒーは「珠屋小林珈琲」によるオリジナルブレンド

ロッジ・アトリエ
山梨県北杜市小淵沢町10287-2
http://194.91.3.220/facility/details/9
TEL. 0551-36-2011 FAX. 0551-36-4362
【営】24時間 【休】年中無休 【料】1名利用時 1万1200円~/2名利用時 7000円~/3、4名利用時 5600円~/5名利用時 4480円~(いずれも一人当たりの税込価格)

HOKUTO WINE TOURISM

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