北イタリアのロンバルディア州東部にあるフランチャコルタ地方で造られるスパークリングワイン「フランチャコルタ」。このフランチャコルタの草分け的存在であるメーカーの一つが、1836年の創業の「Mosnel(モスネル)」だ。このたび、まもなく5代目となるルチア・バルザノさんが来日。「YAUMAY」にて、プレスランチを開催した。
モスネルは1967年、フランチャコルタDOC(その後DOCGに昇格)への登録に、最初に名乗りを上げた11メーカーのうちの一つ。
「60年前、私の母は本格的にフランチャコルタ生産を始めました。モスネルとは、地方の方言で“石の山”という意味です」と話す。このあたりは、氷河が溶けて流れる時に出来た土壌のため、その名のとおり畑には石が多く、そのミネラルがワインにエレガンスと厚みのある味わいをもたらす。
モスネルの畑は、イゼオ湖の温暖な気候の影響を受けない。氷堆石丘陵がイゼオ湖とモスネルの間にあるため「畑のある場所は涼しく、しかも谷底にあるため冷たい風が吹き抜け冷涼なテロワールです。だからこそ、私たちの造るフランチャコルタは、酸がしっかりして長期熟成にも耐えられるのです」と話す。
試飲をすると、フレッシュな青りんご、白い花の香り、酸とミネラルがしっかりしており、硬質なフランチャコルタのイメージだ。
今回の来日では特別に、実験的に造った2007年ヴィンテージのリ・エディション版もお披露目された。『エキストラ・ブリュット EBB 2007年“Riedizione 2023年”』は、グラスから洗練されたフルーツやハーブに加えロースト香が立ち上る。柑橘類のさわやかさと、ミツやスパイス、など複雑さも増し、深みのあるテクスチャーに。『パ・ロゼ・ミッレジマート 2007年“Riedizione 2023年”』は、オレンジがかったピンク色が美しい。ルイボスティーや乾燥したラズベリーやバラ、オリエンタルスパイス、ヘーゼルナッツなど、複雑な香り。口に含むと、柔らかな果実味と成熟した複雑さを感じる。どちらにも共通するのは、まだしっかりとフレッシュな骨格が残っており、生き生きとしているところ。
「飲みごろのピークは、数年後」とルチアさん。モスネルは、柑橘類など活気溢れるフレッシュさと硬質なミネラル感の透明感溢れる味わい、そして長期熟成による醍醐味も味わえるフランチャコルだ。
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