オーストラリア、アデレード・ヒルズでワインを造る「ショウ・アンド・スミス」のワインと飲茶を合わせるイベントが「グランドハイアット東京」内の中国料理店「チャイナルーム」で行われた。このようなイベントはシドニーやメルボルン、香港、シンガポールでも開催されてきたが、今回日本で初めての開催となった。
ショウ・アンド・スミスは1989年にマイケル・ヒル・スミスMWと従兄弟で醸造家でもあるマーティン・ショウ氏がオーストラリアのアデレード・ヒルズに設立したワイナリー。アデレード・ヒルズは標高差がユニークで湿度も高く、よりクールクライメット(冷涼)なエリア。ブドウ栽培に大きな可能性を見出し、1999年にバルハンナの畑を購入してブドウの植樹を開始、今ではレンズウッド、ピカデリーの3カ所に自社畑を有し、高品質なワイン造りに取り組んでいる。
会は同社の名刺代わりとなる『ソーヴィニヨン・ブラン2023年』でスタートした。このワインはフレッシュでアルコールも控えめな飲み心地の良いタイプ。産地の個性を反映させるため、あまり手を加えずにステンレスタンクで醸造する。柑橘やパッションフルーツ、ピンクグレープフルーツの香り。低温で発酵させるためシャンパーニュの瓶内2次発酵で使用される酵母を使用する。
続いて『リースリング 2023年』は残糖5グラムと少し高めだが、ドライなスタイルに仕上がっている。リースリングはその高い酸から中国料理には合うと言われており、上海式小籠包の肉の旨味たっぷりの肉汁に心地いい酸味が融合するペアリングに。
『M3シャルドネ2022年』は果実がコンセレートされたパワフルな印象。バランスが良く、フレッシュでネクター(果実をすりおろしたような飲料)のような滑らかさ。マロラクティック発酵を経て8~10カ月熟成させている。これに合ったのは葉ニンニクと海老蒸し餃子。エビのミネラル感と蒸した皮のもちっとしたテクスチャーがワインに相乗した。
レンズウッドとピカデリーはピノ・ノワールの栽培に適した土地。そのブドウを使用した『ピノ・ノワール2022年』はデリケートでアロマティックな香りが漂う。15~20パーセントを全房で発酵した。「ワインに花椒(フォアジャオ)のようなニュアンスがあるため、中国料理にはぴったり」とファイエラさんが教えてくれた。この日は窯焼き北京ダックが供されたが、テンメンジャンの甘さにワインの繊細な果実が寄り添った。
『シラーズ2021年』はエレガントで、フランス北ローヌのシラーのようなイメージ。赤い果実やチェリーの豊かな香りにタイムなどのドライハーブを思わせる風味。霧降高原牛テンダーロインのXO醤のほのかなスパイシーさを包み込んだ。
このイベントには、ホテルや高級中国料理で働くワインのプロフェッショナルが参加し、中国料理とショウ・アンド・スミスの相性を試し、それぞれのテーブルで活発な意見交換が行われていた。
ワインの輸入元:㈱モトックス