ガルダ湖岸に広がるヴァルテネジはイタリアでも優れたロゼワインの産地として知られる。近年注目を集めている瓶内2次発酵スパークリングも秀逸なものが生まれる。「コスタリパ」はヴァルテネジを代表する生産者だ。

画像: 1928年に創設された「コスタリパ」は現在3代目のマッティア・ヴェッツォーラ氏と4代目の息子ゲラルド氏、娘ニコールさんが運営している。2022年に「ベッラヴィスタ」を引退したマッティア氏は自らのワイナリーに専念している

1928年に創設された「コスタリパ」は現在3代目のマッティア・ヴェッツォーラ氏と4代目の息子ゲラルド氏、娘ニコールさんが運営している。2022年に「ベッラヴィスタ」を引退したマッティア氏は自らのワイナリーに専念している

イタリア最大の湖ガルダ南西岸に広がるなだらかな丘陵地帯が、ヴァルテネジだ。デセンツァーノからサロまで20キロにわたり南北に延びる湖岸に沿って広がるブドウ畑は東向きで、朝の太陽を受ける。ガルダ湖は冬でも水温が7℃以下になることがなく、温暖な地中海性気候だ。ヴァルテネジは冬でも気温がマイナスになることは稀である。ただアルプスに近いので夜は涼しく、ワインはフレッシュさを保持する。67種類ある多様な土壌がワインにアロマの複雑さ、調和、ミネラルを与える。

画像1: ヴァルテネジは温暖な気候で、年間日照時間3000時間(世界平均2500時間、日本平均は1850時間)と太陽に恵まれ、朝夕にやさしい風がガルダ湖から吹く。氷堆石丘陵の軽い土壌で、水はけがいい

ヴァルテネジは温暖な気候で、年間日照時間3000時間(世界平均2500時間、日本平均は1850時間)と太陽に恵まれ、朝夕にやさしい風がガルダ湖から吹く。氷堆石丘陵の軽い土壌で、水はけがいい

ヴァルテネジのロゼワインは軽やかで、優美だ。使用されるグロッペッロ・ジェンティーレはデリケートで洗練された品種。旗頭ワインである『ヴァルテネジ・ロザマーラ』は、『ガンベロ・ロッソ・イタリアワインガイド』で最高評価トレ・ビッキエーリを獲得したこともあり、イタリアを代表するロゼワインの一つ。2023年は淡いピンク色で、ピーチ、オレンジ、チェリーの香りにニオイスミレと白胡椒が混ざる。生き生きとした味わいで、上品なミネラルが長く続く。ブドウの樹齢は25年以上と高く、成熟したブドウだけを朝の涼しい時間帯に収穫し、ブドウの自然な重みで涙のように滴るフリーラン果汁だけを使用する(「ラクリマ方式」ラクリマはイタリア語で涙を意味する)。果汁の35パーセントは古いオーク小樽(228リットル)で発酵、6カ月熟成させることによりワインにヴォリュームと広がりを与える。太陽と湖の風を感じさせる魅惑的なロゼワインだ。

画像2: ヴァルテネジは温暖な気候で、年間日照時間3000時間(世界平均2500時間、日本平均は1850時間)と太陽に恵まれ、朝夕にやさしい風がガルダ湖から吹く。氷堆石丘陵の軽い土壌で、水はけがいい

ヴァルテネジは温暖な気候で、年間日照時間3000時間(世界平均2500時間、日本平均は1850時間)と太陽に恵まれ、朝夕にやさしい風がガルダ湖から吹く。氷堆石丘陵の軽い土壌で、水はけがいい

驚くべき長期熟成能力を示すのが『ヴァルテネジ・モルメンティ』だ。2年の小樽(400リットル)熟成、3年の瓶熟成を経てリリースされる。2015年はガンベロ・ロッソ・イタリアワインガイドのイタリア最高のロゼワインに選ばれている。2019年は繊細かつ複雑で、イタリアのロゼワインの頂点に立つ。

画像: イタリアを代表する醸造家の一人であるマッティア・ヴェッツォーラ氏はなんと5回もイタリア最高の醸造家に選ばれていて(イタリアソムリエ協会、ガンベロ・ロッソ、イタリアソムリエ財団などにより)、輝かしいキャリアを誇る

イタリアを代表する醸造家の一人であるマッティア・ヴェッツォーラ氏はなんと5回もイタリア最高の醸造家に選ばれていて(イタリアソムリエ協会、ガンベロ・ロッソ、イタリアソムリエ財団などにより)、輝かしいキャリアを誇る

瓶内2次発酵スパークリングも素晴らしい。マッティア・ヴェッツォーラ氏は1981年から2021年まで40年にわたりフランチャコルタの名門ベッラヴィスタの醸造責任者を務め、優美極まりないスタイルを築き上げた功績者だ。マッティア氏が追求しているのは、技術よりも手作業、直感を重視する職人的なスタイル。ブリュットは繊細で、みずみずしく、絹のような口当たりが特徴。ブリュット・ロゼは調和が取れて、滑らかだ。偉大なヴィンテージを表現する『グランデ・アンナータ・ロゼ 2018年』は軽やかさと複雑さを見事に両立させている。一貫してマッティア・ヴェッツォーラならではのスタイルである。

画像: 『ROSAMARA VALTENESI 2023年』  ロザマーラ・ヴァルテネジ 2023年 品種:グロッペッロ・ジェンティーレ50%、マルツェミーノ30%、サンジョヴェーゼ10%、バルベーラ10%

『ROSAMARA VALTENESI 2023年』

ロザマーラ・ヴァルテネジ 2023年
品種:グロッペッロ・ジェンティーレ50%、マルツェミーノ30%、サンジョヴェーゼ10%、バルベーラ10%

『MOLMENTI VALTENESI 2019年』
モルメンティ・ヴァルテネジ 2019年
品種:グロッペッロ・ジェンティーレ、マルツェミーノ、サンジョヴェーゼ、バルベーラ

MATTIA VEZZOLA BRUT S. A.
マッティア・ヴェッツォーラ・ブリュット NV
品種:シャルドネ100%

『MATTIA VEZZOLA BRUT ROSE’ S. A. 』
マッティア・ヴェッツォーラ・ブリュット・ロゼ NV
品種:シャルドネ 80%、ピノ・ネーロ20%

画像: 『MATTIA VEZZOLA GRANDE ANNATA ROSE’ 2018年』 マッティア・ヴェッツォーラ・グランデ・アンナーア・ロゼ 2018年 品種:シャルドネ 80%、ピノ・ネーロ20%

『MATTIA VEZZOLA GRANDE ANNATA ROSE’ 2018年』
マッティア・ヴェッツォーラ・グランデ・アンナーア・ロゼ 2018年
品種:シャルドネ 80%、ピノ・ネーロ20%

text by Isao MIYAJIMA

生産者オフィシャルサイトhttps://costaripa.it/?lang=en

画像: ガルダ湖の風と太陽を感じさせるロゼワイン

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