2026年3月8日、ブルゴーニュの「オスピス・ド・ニュイ・サン・ジョルジュ(ニュイ・サン・ジョルジュ病院財団)の第65回ワインオークションがシャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョにて開催された。落札総額は1,526,000ユーロ(約2億8000万円)、前年比91.7%増と驚異的な増加となった。これは、2025年ヴィンテージへの市場の絶大な信頼を如実に示すものと受け取られている。

今大会の出品は赤ワイン79樽(18キュヴェ)と白ワイン1.5樽(1キュヴェ)の計80.5樽。これら全ロットが1つも残らず100%完売した。

2025年ヴィンテージは「構造とエレガンスの絶妙なバランス」と評され、典型的なブルゴーニュらしいプロフィールを持つ年として高い評価を受けている。生産量はやや限定的で、例年の100〜150樽に対し今回は80.5樽に留まったが、この稀少性が市場の旺盛な需要を引き出す結果となった。なお、前年の第64回大会はわずか35.5樽の出品にとどまる歴史的な凶作の年であり、今回の数字はその反動増も加味して理解する必要がある。

赤ワイン(18キュヴェ)の1樽あたりの平均落札価格は18,595ユーロ。稀少な白ワインには38,000ユーロという高値がついた。

画像: 第65回ニュイ・サン・ジョルジュ・オスピスワインオークション

最高値を記録したのは「ニュイ・サン・ジョルジュプルミエ・クリュ・レ・サン=ジョルジュ キュヴェ・ユーグ・ペルドリゼ」と「同 キュヴェ・ジョルジュ・フェヴレー」の2銘柄で、いずれも47,000ユーロで落札され、グラン・クリュに匹敵する評価を受けた。白ワインの「ニュイ・サン・ジョルジュプルミエ・クリュ・レ・テール・ブランシュ」は34,000ユーロ(前年比+26%)、加えてフイエット(半樽)が23,000ユーロで落札され、ブルゴーニュの白ワインとしての圧倒的な稀少性がコレクターや愛好家の激しい競合を呼んだ。

キュヴェ落札価格(1樽)
NSG 1er Cru レ・サン=ジョルジュ キュヴェ・ユーグ・ベルド リゼ(赤)47,000€
NSG 1er Cru レ・サン=ジョルジュ キュヴェ・ジョルジュ・フェヴレ―(赤)47,000€
NSG 1er Cru レ・テール・ブランシュ(白・樽)34.000€
NSG 1er Cru レ・テール・ブランシュ(白・フイエット)23,000€
赤ワイン平均18,595€
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今大会がとりわけ「コレクターズ・エディション」としての意義を帯びた理由は、1990年からドメーヌの醸造責任者(レジスール)を務めてきたジャン=マルク・モロン氏が、この2025年ヴィンテージをもって35年のキャリアに幕を閉じたことにある。彼の後任には、ロランス・ダネル氏が就任した。

慈善キュヴェ ── アニ・ノマード協会へ59,500ユーロ

恒例の慈善樽「キュヴェ・デ・ビアンフェトゥール」の今年の支援先はコート・ドール県のアニ・ノマード協会。2010年設立の同協会は動物介在療法のパイオニアで、高齢者・障害者・患者など社会的弱者を対象に人と動物の絆を活用した活動を展開している。9つのプルミエ・クリュをアッサンブラージュしたキュヴェ290本はサブスクリプション形式で販売され、寄付金も含めた収益は59,500ユーロに達した。

画像: 今回の競売会において、ブルゴーニュの名門「メゾン・アルベール・ビショ」は6樽を落札した

今回の競売会において、ブルゴーニュの名門「メゾン・アルベール・ビショ」は6樽を落札した

オスピス・ド・ニュイ・サン・ジョルジュは、フランスを代表するワインオークション会社iDealwine(イデアルワイン)が2回目の主催を務めた。同社は2000年創業で2025年の総売上5800万ユーロを誇る。パリ・ボルドー・ボーヌのほかアジア(香港・シンガポール)や米国(ニューヨーク)に展開し、フランスでは3本に1本のオークション落札ワインが同社によるものという。

CEO兼競売人のシリル・ジョマン氏は「類を見ない不安定な経済情勢の中にあり、さらに、昨年に比べやや増産となったボリュームに対しても価格の底堅さを裏付けた。これはヴィンテージの優れた品質を反映するものだ」とコメントした。

ドメーヌ概要 ── ブルゴーニュ伝統の守護者

ニュイ・サン・ジョルジュ病院財団のドメーヌは、ニュイ・サン・ジョルジュ、プルモー=プリセ、ヴォーヌ=ロマネ、ジュヴレ=シャンベルタンにまたがる計12.4haを所有する。19キュヴェを生産し、そのうちの一つ「レ・ディディエ」はニュイ・サン・ジョルジュプルミエ・クリュの独占アペラシオン(モノポール)を誇る。全ての赤ワインはピノ・ノワール100%で、複雑なアロマと若くても滑らかなタンニンが共通の特徴だ。

画像1: ドメーヌ概要 ── ブルゴーニュ伝統の守護者
項目オスピス・ド・ボーヌオスピス・ド・ニュイ・サン・ジョルジュ
開催回(2025年)第165回第65回
開催日2025年11月16日2026年3月8日
オークション会社Sotheby'siDealwine
落札総額1875万€(約34億7000万)153万€(2億8000万円)
出品数(樽)552樽(赤428・白111他)80.5樽(赤79・白1.5)
1樽平均価格約33,930€約18,600€
ドメーヌ面積約61ヘクタール12.4ヘクタール
産地コート・ド・ボーヌ中心コート・ド・ニュイ中心
慈善樽落札額400,000€59,500€
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規模の差は歴然だ。ボーヌが552樽を擁する国際的な大イベントであるのに対し、ニュイ・サン・ジョルジュは80.5樽と規模は小さい。また、1樽あたりの平均落札価格を見ると、ボーヌの約33,930ユーロに対してニュイ・サン・ジョルジュの赤ワインは約18,600ユーロ。グラン・クリュを多数擁するボーヌに比べれば当然の差ではあるが、今競売会ではオスピス・ド・ニュイ・サン・ジョルジュのトップ・キュヴェが47,000ユーロというこれまでにない水準に達し、両者の差が縮まっていることも注目される。

また、開催時期も対照的で、ボーヌが毎年11月第3日曜日に行われ「ブルゴーニュの市場のバロメーター」として世界のワイン市場を牽引するのに対し、ニュイ・サン・ジョルジュのオークションは翌年3月に開催される。これにより市場参加者はボーヌの結果を参照した上でニュイ・サン・ジョルジュに臨むことができ、二つのオークションは競合関係というよりも補完的な存在といえる。今年もアルベール・ビショーがボーヌの競売会で85.5樽を落札し最大のバイヤーとして活躍したが、ニュイ・サン・ジョルジュの競売会でも6樽を取得しており、両オークションへの積極的な参加が注目される。

画像2: ドメーヌ概要 ── ブルゴーニュ伝統の守護者

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