11月21日、待ちに待ったこの日がやってきました。ボジョレー・ヌーヴォー2019解禁日! 「解禁目前!ボジョレー・ヌーヴォー2019は、こう楽しむ!」に引き続き、「銀座レカン」ソムリエの近藤佑哉氏が、到着ほやほやのボジョレー・ヌーヴォー8本をテイスティングしました。

2019年の今年は日本のボジョレー・ヌーヴォー市場にとっても“令和元年初ヌーヴォー”!

「近年でいうと、2004年が日本に輸入されるボジョレー・ヌーヴォーが100万ケース(1ケース=12本)を超えてピークと言われていましたが、今年はそれに比べてぐっと少ない40万ケースくらいの予想です」と、のっけから……。

でも! その瞳がキラキラ輝いているのは、なぜ?

「“ボジョレー・ヌーヴォー”を謳えば売れた時代は、輸入業者も輸入商品を乱発していた感がありましたが、最近はアイテムを絞り込んで外れが少ない。だから輸入量減少の傾向は、ポジティブにとらえていいのではないでしょうか」

なんだ、そういうことだったのか! つまり、安かろう悪かろうのボジョレー・ヌーヴォーがぐっと減って、私たち消費者にとっては何を選んでも“ハズレが少ない”ということ。

では、気分を前向きに。レッツ・テイスト!

まずは“ボジョパ”にぴったりの3本! (A)

『ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー2019年』

画像: 輸入元:サントリーワインインターナショナル㈱ 2460円(税別)

輸入元:サントリーワインインターナショナル㈱
2460円(税別)

「木イチゴやストロベリーのキャンディのようなアロマを持ち、チャーミングな印象です。口当たりはフレッシュで、アプローチしやすいチャーミングなワイン。ボジョレー・ヌーヴォーの中心的な存在であり、香りや味わいも毎年このワインが軸になると言っていいでしょう。シャープな酸が特徴的で、軽くて飲みやすい味わいは、近年の食事のライト化傾向とマッチしていると思います。温度も少し冷やし気味でいただくと、酸がだれることなくオススメです!」

生産者:ジョルジュ・デュブッフ
ボジョレー・ヌーヴォーを世界に広めた立役者“ボジョレーの帝王”。設立は1967年。自社畑のほかボジョレー全域の400を超える生産者と契約を結び、ブドウを調達、ブレンド。
https://www.suntory.co.jp/wine/special/kaikin/?nouveau=1

『アンリ・フェッシ・ボージョレ・ヌーヴォ 2019年』

画像: 輸入元:アサヒビール㈱ 2150円(税別)

輸入元:アサヒビール㈱
2150円(税別)

「ガメイにしては全体的に厚みがある印象です。色調も濃いめで、果実の凝縮感が高く、熟度の高いベリーを加熱した香りが中心に広がる。スミレの花びらや、茎のような少し青いニュアンスがあります。渋味が心地良く口中を引き締めてくれ、後味にはタンニンも感じます。ボジョレー・ヌーヴォーにしては重厚感があるので、鶏の赤ワイン煮込み「コック・オー・ヴァン」などコクのあるお料理と。お寿司屋さんでマグロの赤身を炙っていただくと相性抜群です!」

生産者:アンリ・フェッシ
“クリュ・デュ・ボジョレー”と呼ばれる10の上位格付けのうちの九つに自社畑を所有する。70ヘクタールの自社畑のうち半分以上が樹齢50〜75年の古木で構成。
https://www.asahibeer.co.jp/enjoy/wine/beaujolais/lineup/

『ピス・ドリュー ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー 2019年』

画像: 輸入元:国分グループ本社(株) 2200円(税別)

輸入元:国分グループ本社(株)
2200円(税別)

「香りは少し甘やかさのある果実のトーンとキャンディ香が中心です。酸はフレッシュですが柔らかさがあり、後味に厚みのあるタンニンと、かすかな苦味を感じます。スパイスのトーンは抑えめですが、格の高い“ヴィラージュ”クラスらしく、熟度と糖度の高いブドウを選別して使っていることを思わせるコクと凝縮感が感じられます。全体的にフレッシュでエレガントな印象の強い2019年の中では、むしろボディと厚みを感じさせてくれる1本でしょう」

生産者:ピス・ドリュー
フランス国内AOCボジョレーでブランド別年間販売数量ナンバーワン(2018年)を誇る。60年以上にわたりフランスの食卓を彩ってきた伝統のあるワインメーカー。
https://www.kokubu.co.jp/brand/liquors/beaujolais2019/

そして、シックに楽しむ大人ボジョレー(B)

『ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー カーヴ・デュ・シャトー・デ・ロージュ 2019年』

画像: 輸入元:㈱スマイル 2400円(税別)

輸入元:㈱スマイル
2400円(税別)

「花崗岩土壌の樹齢40年以上の古樹を使っているところから、オリエンタルスパイスのような甘やかなスパイス香が感じられます。味わいは熟れた赤いベリー系の果実が自然につぶれたような香りに、フレッシュなお花のトーンが加わります。ストラクチャーがしっかりしていて、酸はフレッシュでキメの細かいタンニンを持ち、アフターフレーバーには心地良い渋味を感じる。ガストロノミー(高級料理店)の食卓にもマッチする、本格派ボジョレー・ヌーヴォーです」

生産者:カーヴ・デュ・シャトー・デ・ロージュ
1960年に複数のブドウ生産農家が18世紀のシャトー・デ・ロージュとその敷地を購入し設立した。平均樹齢40年以上のブドウを手摘みし、無濾過で瓶詰めを行う。

『ボージョレ ヌーヴォ キュヴェ・ヴィエイユ・ヴィーニュ 2019年』

画像: 輸入元:㈱モトックス 3600円(税別)

輸入元:㈱モトックス
3600円(税別)

「果実香中心の香りは、熟れたベリーやサクランボを思わせます。グラスを回すとスパイスやハーブのようなトーンが感じられます。アタックはエレガントで、口中にすっと滑らかに入ってくる。ほどよい果実味とシャープな酸、アフターフレーバーによくなじんだタンニンと渋味を感じます。2019年のヴィンテージの特徴をよく表した、スレンダーで繊細なタイプ。パーティー仕様というよりは、いい意味でイメージを覆す“大人系ボジョレー・ヌーヴォー”です」

生産者:ピエール・マリー・シュルメット
ボジョレー地方サン・ヴェランで17世紀続く伝統ある生産者。化学薬品、除草剤の不使用、自然酵母の採用、低収量で完熟したブドウの収穫といった自然な造りを実践。
https://mot-wine.mottox.co.jp/season/2lcp0000001d54_2019.html

『メゾン・シャンピー ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー 2019年』

画像: ヌーヴォ輸入元:国分グループ本社㈱ 3700円(税別)

ヌーヴォ輸入元:国分グループ本社㈱
3700円(税別)

伝統的なブルゴーニュの造りを感じさせるボジョレー・ヌーヴォーです。熟れたベリー系の香りに、ユリやスミレの花の香りを感じさせる、こぶりな印象のワインです。かすかにスパイスのトーンがありますが、木の根っこや土っぽいミネラルの要素が強く、ロースト香も。味わいには骨格がありながらも酸はよく馴染んでいて、抑制が効いたエレガントな一本。ガメイらしいというよりは、まるでピノ・ノワールで造られたブルゴーニュ・ワインを思わせてくれます」

生産者:メゾン・シャンピー
1720年に創業したボーヌ最古のメゾン。1990年にワイン仲介商のミュルジェ家が買い取り改革を進め、2016年にはフランス大手のワイン企業アドヴィニ社の所有に。

ボジョレーもオシャレ系で行こう!(C)

『ボージョレ・ヴィラージュ ヌーヴォ サン・スルフィット 2019年』

画像: 輸入元:㈱モトックス 3100円(税別)

輸入元:㈱モトックス
3100円(税別)

「“サンスフル”(So2=亜硫酸塩無添加)で造る、いわゆるナチュール的なボジョレー・ヌーヴォーです。開けたては、やや還元した印象もありますが、グラスを回すと取れてきますね。果実香とオリエンタルスパイスのトーンをしっかり持っていて、タンニンの質もいい。So2無添加を単なる売り文句にすることなく、クリュ・デュ・ボジョレーの恵まれたテロワールを綺麗に表現している印象です。シシトウなど青味野菜の天ぷらをカレー塩でいただきたいです」

生産者:ドメーヌ・リュエ
リュット・レゾネ(減農薬)を実践した、上位格付け“クリュ・デュ・ボジョレー”の一つレニエ産の樹齢30〜60年のブドウを使い、凝縮感を持ったワインを生産する。
https://mot-wine.mottox.co.jp/season/2lcp0000001d54_2019.html

『ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー 2019年』

画像: ヴァン シュール ヴァン 3600円(税込)→11月中は3100円(税込)!

ヴァン シュール ヴァン
3600円(税込)→11月中は3100円(税込)!

「ビオディナミ栽培を実践し“アグリキュルチュール・ビオロジック”をはじめ三つのオーガニック認証を取得しています。非常にミネラル感が強く、ジャムのようなガメイらしい香りを豊かに表現しています。イーストのような香りがそこに加わり、スパイスのトーンは控えめな印象です。アタックには柔らかさがあって、後味にキメの細かいタンニンの渋味と、食欲を湧かせる旨味を強く感じます。厚みがあり、重心が低く、素直に美味しい!と思えるワインです」

生産者:ドメーヌ・ド・ブイロン
2011年、80年前から続くモルゴンの1ヘクタールの畑を4代目カンタン・ティエリー氏が購入。生き生きとしたミネラル感とエレガンスを持ったワイン造りを行う。
http://www.vsv.co.jp/

ボージョレ・ヌーヴォー2019をテイスティングしてみて

画像: ボージョレ・ヌーヴォー2019をテイスティングしてみて

「こうして8本の2019年のボジョレー・ヌーヴォーをテイスティングしてみると、昨年2018年は味わいに厚みがある傾向にあったのに対し、今年は全体的にはフレッシュで、エレガントなワインが多い印象ではあります。が、ボジョレー・ヌーヴォーとはいっても、これだけ造り手やアイテムによって個性がはっきりとわかれたのには、正直私自身も驚きました」

 今回のテイスティング結果をふまえ、A、B、Cの3タイプにグループ分けしたが、みんなでワイワイのパーティー(A)から、高級レストランでしっとり味わいたい本格派(B)、トレンドを押さえたワインバーでオシャレに味わいたいモダンなスタイル(C)まで、同じボジョレー・ヌーヴォーでも味わいは千差万別。

「ボジョレー・ヌーヴォーを飲んだことのある経験値に合わせてセレクトする、なんていう楽しみ方もできますね」

 TPOに合わせて、選択肢は多種多様。しかも、何を選んでもハズレなし! そんなボジョレー・ヌーヴォー2019、飲まない理由はないでしょう。

 だ・か・ら、今夜はレッツ・エンジョイ! ボジョレー・ヌーヴォー!!!

text by Ryo TAMURA

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