オーストラリアのワインといえば、シャルドネやシラーズを思い浮かべる人も多いだろう。しかし、オーストラリアでは実に多彩な「代替品種」が栽培されている。この代替品種に関してワイン講師・ワインライターの小原陽子さんと「ワイン・オーストラリア」アジア・パシフィック地域教育開発マネジャー、カティ・ヴァニオンパさんがオンラインセミナーを行った。

画像: オンラインセミナー「オーストラリアの代替品種」リポート

代替品種とは「オルタナティブ品種」とも呼ばれ、その土地でそもそも栽培をされていなかった品種を指す。今、オーストラリアではこの代替品種の栽培が進んでいるという。その理由の一つとして温暖化による気候変動があり、オーストラリアでも温暖な気候に適しているブドウ品種に注目が集まった。またオーストラリアの地理的表示制度(GI)は、品種や造り方への制限がなく「その産地で栽培されるブドウを使う」という条件のみにとどめているため、生産者は新しい品種にも挑戦しやすい。そして移民文化ゆえ、生産者も消費者も新しいものを受け入れる寛容さがあることが挙げられる。

オーストラリアの代替品種の歴史は古く、1868年、「ベスツ・ワインズ」のヘンリー・ベスト氏がドルチェットを植えたのが始まり。このドルチェットは世界最古の自根のドルチェットと言われている。そして1900年終わりには商業的に初めてイーデン・ヴァレーの「ヤルンバ」がヴィオニエを、1985年には「コリオール」がサンジョヴェーゼを開始。2000年に入るとヴィオニエ、ピノ・グリージョなどの品種を使うスタイルが消費者にも浸透してきた。また「チャルマーズ」は約20年にもわたり70以上のイタリア品種の台木や苗木を輸入し、広めていった。

オーストラリアには主に次のような代替品主がある。

・ヴェルメンティーノ
イタリアのリグーリア州、サルデーニャ州で栽培されている品種。温暖で海に近いという環境が似ているマクラーレン・ヴェイルが栽培に適している。フレッシュでテクスチャーがしっかりしたブドウができる。

・グリューナー・ヴェルトリーナ
オーストリアの品種。アデレード・ヒルズではフレッシュさミネラル、果実のバランスが取れたブドウができる。

・フィアーノ
南イタリアのカンパーニア州、シチリア州が原産。マクラーレン・ヴェイルが有名だがハンター・ヴァレー、グラニット・ベルトなどでも栽培されている。軽やかでフレッシュタイプとフルボディでしっかりした2タイプが造られている。

・サンジョヴェーゼ
1960年代から試験栽培を開始したオーストラリアでも歴史の古い代替品主。地中海性気候を持つマクラーレン・ヴェイルやキング・ヴァレーで造られる。プラムやチェリーなどのアロマにハーブのニュアンスがある。

・ネッビオーロ
イタリアのバローロやバルバレスコで有名な品種。オーストラリアでも典型的なタールやバラの香りが出る。パワフルなものからロゼなども造られている。冷涼なヤラ・ヴァレーやモーニントン・ペニンシュラで栽培。

・ネーロ・ダヴォラ
イタリア南部のブドウ。リバーランドやマレー・ダーリングなど温暖で内陸の地域で栽培。力強い赤いチェリーの香りが特徴。

・テンプラニーリョ
スペインを代表する品種の一つでオーストラリアでも人気があり200以上の生産者が造っている。温暖な気候に適している。

オーストラリア・ワイン業界の革新的精神によって、オーストラリアに適した代替品種は年々増え続けている。常に新たなワインを求める消費者ニーズに応えるように、オーストラリアのワインメーカーたちは努力を重ね、代替品種を新たな人気ワインというステージへと押し上げている。

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