ネゴシアン(ワイン商)が所有するグラン・クリュ畑から作られたボトルだけを集めて試飲する「グランド・メゾン・グラン・クリュ」の催しが、3月24日、シャサーニュ・モンラッシェのネゴシアン・ピカールで開かれた。この催しは、ブルゴーニュのネゴシアン組合が主催し、2年に一度開催される「グラン・ジュール・ド・ブルゴーニュ」の催しの一つとして行われているもので今回14回目。
●市場価格も高騰、世界市場で需要が高まっているグラン・クリュのワイン ブルゴーニュには計33のグラン・クリュがあり、2021年時点での生産面積はコートドール赤358ヘクタール、同白96ヘクタール、シャブリのグラン・クリュ102ヘクタールで、合わせて556ヘクタール。これはブルゴーニュ全体の約2パーセントに当たる。収穫率は一般のブルゴーニュ・ワインに比べ大変低いので、グラン・クリュの生産量はブルゴーニュワイン全体の1.3パーセント程度にすぎない。また、最近の天候不順で生産量が減少しているのに対して世界市場でブルゴーニュのグラン・クリュの需要が高まっていること、ネゴシアンが最新の技術と情熱を傾けグラン・クリュの醸造を行い、質が極めて向上していることなどが重なり市場価格が驚くほど高騰しており、ほとんどのボトルが数万円単位となっている。
●赤のグラン・クリュ16本、白のグラン・クリュ20本の、合計36本を試飲 ブルゴーニュのネゴシアン組合は2016年末にボージョレーのネゴシアン組合と合併し「ユニオン・デ・メゾン・ド・ヴァン・デ・グランド・ブルゴーニュ(Union des Maisons de Vins de Grande Bourgogne)」を結成した。ブルゴーニュのネゴシアン会員は65社で、ブルゴーニュのブドウ園(約3万52ヘクタール)の15パーセントを所有し、ブルゴーニュ・ワインの販売の約60パーセント、金額にして16億ユーロ(約2100億円)を扱っている。今回の催しには主要なネゴシアン20社が参加し、約40人のワインジャーナリストが赤のグラン・クリュ(2018年産)16本、白のグラン・クリュ(2019年産)20本、合計36本を試飲した。
また、試飲後の夕食会では「シモネ・フェーヴル」の『シャブリ・グラン・クリュ レ・クロ2016年』、「ブシャール・ペール・エ・フィス」の『コルトン・シャルルマーニュ2011年』、「シャンソン・ペール&フィス」の『シャルム・シャンベルタン2013年』、「ルイ・ジャド」の『シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ1991年』が振舞われた。
以下に試飲に供されたワインと評価を記した。
シャトー・フィリップ・ル・アルディ CHÂTEAU PHILIPPE LE HARDI『CLOS DE VOUGEOT 2018年』 (16.0/20満点)
◆醸造:低温予備発酵7日間。発酵12~14日。ピジャージュとルモンタージュを行い穏やかに抽出
◆熟成:オーク樽で18ヵ月間熟成。新樽比率30パーセント。 11月に瓶詰
◆瓶詰数:1200本
アルベール・ビショー ALBERT BICHOT『ÉCHEZEAUX Domaine du Clos Frantin 2018年』 (17.5/20満点)
◆醸造:手摘み、一部除梗(全収穫の40パーセントは茎付き)。温度管理された円錐形オーク桶を使用。醗酵マセラシオン3週間
◆熟成:オーク樽で16ヵ月間熟成、新樽40パーセント
◆瓶詰数:5500本
ALBERT BICHOT『CORTON-CHARLEMAGNE Domaine du Pavillon 2019年』 (16.5/20満点)
◆醸造:手摘み。樽醸造18日間
◆熟成:樽で15ヵ月間熟成。半分新樽。壜詰め前に清澄作業
◆瓶詰数:4800本
アンリ・ド・ヴィラモン HENRI DE VILLAMONT『GRANDS ÉCHEZEAUX 2018年』 (16.5/20満点)
◆醸造:100パーセント除梗し、年により24日から28日間タンクで醸造
◆熟成:樽で16ヵ月間熟成。新樽率65パーセント
◆瓶詰数:NC
HENRI DE VILLAMONT『CORTON-CHARLEMAGNE 2019年』 (17.0/20満点)
◆醸造:手摘み。樽醸造18日間
◆熟成:樽で15ヵ月間熟成。半分新樽。壜詰め前に清澄作業
◆瓶詰数:NC
ドメーヌ&メゾン・ファミーユ・ピカール DOMAINES & MAISON FAMILLE PICARD『CORTON Les Bressandes Au Pied du Mont Chauve 2018年』 (15.5/20満点)
◆醸造:100パーセント除梗後、温度調節可能なステンレスタンクで伝統的な醸造。キュヴェゾン約15日間
◆熟成:オーク樽で12〜15ヵ月間熟成。30パーセント新樽使用
◆瓶詰数:300本
DOMAINES & MAISON FAMILLE PICARD『CORTON Les Perrières Au Pied du Mont Chauve 2018年』 (15.5/20満点)
◆醸造:100パーセント除梗後、温度調節が可能なステンレスタンクで伝統的な醸造。キュヴェゾン約15日間
◆熟成:オーク樽で12〜15ヵ月間熟成。30パーセント新樽使用
◆瓶詰数:300本
ボワセ・ファミーユ・デ・グラン・ヴァン BOISSET FAMILLE DES GRANDS VINS『CORTON Les Renardes 2018年』 (16.0/20満点)
◆醸造:手摘み。ブドウ畑で最初の選別を行い、醸造所の選果テーブルで再度選別。50パーセント除梗し破砕せず、重力でタンクに入れる。マセラシオン22日(うち5日間低温マセラシオン)。硫黄を使用せず自生酵母で発酵
◆熟成:澱引きせずに14ヵ月間樽熟成。繊細な樽の香りを実現するために、低温で長時間焙煎したフランス産の新樽を30パーセント使用。
◆瓶詰数:683本
BOISSET FAMILLE DES GRANDS VINS『CLOS DE VOUGEOT 2018年』 (16.5/20満点)
◆醸造:手摘み。ブドウ畑での最初の選別し、醸造所の選果テーブルで再度選別。100パーセント除梗し、破砕せず、重力によってタンクに運び土着酵母のみで発酵。22日間マセラシオン(うち5日間は12℃の低温マセラシオン)
◆熟成:樽で14ヵ月間滓引きせず、滓とともに熟成。低温でトーストした50%の新樽を使用
◆瓶詰数:608本
ルイ・ジャド LOUIS JADOT『CORTON Les Pougets 2018年』 (16.5/20満点)
◆醸造:手摘み。手作業で選別後、除梗。木製の開放型タンクで3〜4週間マセラシオン。この間、1日に1〜2回、ピジャージュ
◆熟成:樽で約18カ月間熟成。約1/3新樽
◆瓶詰数:NC
LOUIS JADOT『CHEVALIER-MONTRACHET Les Demoiselles 2019年』 (17.5/20満点)
◆醸造:果実の健全性を保つために手で収穫し、小さなケースに入れて運ぶ。その後、ソフトにプレス
◆熟成:約15ヵ月間、樽の中で細かい澱とともに熟成。1/3新樽
◆瓶詰数:NC
セガン・マニュエル SEGUIN MANUEL『CHARMES-CHAMBERTIN 2018年』 (17.0/20満点)
◆醸造:手摘み。選別後、ステンレスタンクで16日間発酵
◆熟成:オーク樽で16ヵ月間熟成。
◆瓶詰数:NC
SEGUIN MANUEL『CORTON-CHARLEMAGNE 2019年』 (16.0/20満点)
◆醸造:手摘み。直接圧搾しオーク樽に入れ地下貯蔵庫で低温発酵させる
◆熟成:18カ月
◆瓶詰数:NC
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ルイ・ラトゥール LOUIS LATOUR『ROMANÉE-SAINT-VIVANT Les Quatres Journaux 2018年』 (17.0/20満点)
◆醸造:手摘み。開放型タンクで伝統的な醸造。100パーセント、マロラクティック発酵
◆熟成:ルイ・ラトゥール社の樽製造所で作られた新樽100パーセントで10~12カ月間熟成
◆瓶詰数:4000本
LOUIS LATOUR『CHEVALIER-MONTRACHET Les Demoiselles 2019年』 (16.5/20満点)
◆醸造:手摘み。オーク樽で伝統的に醸造。100パーセント、マロラクティック発酵
◆熟成:ルイ・ラトゥール社の樽製造所で作られた新樽100パーセントで8~10か月間熟成
◆瓶詰数:1120本
エドゥアール・ドゥロネ EDOUARD DELAUNAY『ÉCHEZEAUX 2018年』 (17.5/20満点)
◆醸造:手摘み後、醸造所で選別。収穫の20パーセントを茎付きのままタンクに入れ、亜硫酸塩無添加で醸造。毎日ピジャージュ
◆ 熟成: 18ヵ月間樽熟成。半分新樽
◆ 瓶詰数:591本
EDOUARD DELAUNAY『CORTON-CHARLEMAGNE 2019年』 (16.5/20満点)
◆醸造:手摘み。ソフトにプレス後、土着酵母を使い樽でゆっくりと発酵
◆熟成:14ヵ月間樽熟成、新樽比率50パーセント。最初の6ヵ月は定期的にバトナージュを行う
◆瓶詰数:1429本+マグナム6本
ジョゼフ・ドゥルーアン JOSEPH DROUHIN『MUSIGNY 2018年』 (18.0/20満点)
◆醸造:ビオディナミで管理されたブドウ畑のブドウを手で収穫し、小さな穴あきのケースで醸造所に運び選果。自生酵母で発酵。マセラシオンと醸造合わせて2~3週間
◆熟成: 14~18カ月間樽熟成、新樽比率20パーセント。 樹齢の高いフランス産オークを入手し、ジョゼフ・ドゥルーアン社で3年以上の乾燥と、組み立て後の樽の焙煎を管理している
◆瓶詰数:NC
JOSEPH DROUHIN『MONTRACHET Marquis de Laguiche 2019年』 (17.5/20満点)
◆醸造:手摘み。畑での選別し、小さな穴のあいたケースで醸造所に運び再度選果。ゆっくりとプレス。最後のプレス果汁は使わない。デブルバージュ後、樽に移し発酵
◆熟成:15〜18カ月間の樽熟成、新樽比率25パーセント。樹齢の高いフランス産のオーク材をジョセフ・ドルーアン社で3年以上乾燥させ焙煎も管理
◆瓶詰数:NC
パトリアッシュ・ペール&フィス PATRIARCHE PÈRE & FILS『CLOS DE VOUGEOT 2018年』 (15.0/20満点)
◆醸造:伝統的な醸造方法で12日間醸造
◆熟成:14ヵ月間樽熟成。50パーセント新樽
◆瓶詰数:584本
PATRIARCHE PÈRE & FILS『CLOS DE LA ROCHE 2018年』 (15.0/20満点)
◆醸造:伝統的な醸造方法で10日間醸造
◆熟成:14ヵ月間樽熟成。66パーセント新樽
◆瓶詰数:780本+マグナム60本
ブシャール・ペール&フィス BOUCHARD PÈRE & FILS『ÉCHEZEAUX 2018年』 (17.0/20満点)
◆醸造:一部除梗。アロマティックなフレッシュさを保つためにピジャージュの回数を制限し、マセラシオン期間も16日間と短め
◆熟成:フレンチオーク樽で17ヵ月間熟成、新樽比率45~60パーセント
◆瓶詰数:2100本
BOUCHARD PÈRE & FILS『CORTON-CHARLEMAGNE 2019年』 (16.0/20満点)
◆醸造 :2時間かけてソフトにプレスした後、ステンレスタンクを使い低温(17℃)でアルコール発酵を行う
◆熟成:フレンチオーク樽で19~20ヵ月間熟成、新樽比率15パーセント
◆ 瓶詰数:9000本
シャンソン・ペール&フィス CHANSON PÈRE & FILS『CORTON Vergennes 2019年』 (17.5/20満点)
◆醸造:樽を使った醸造と熟成、新樽は20パーセントに制限
◆熟成:樽を使い14ヵ月間熟成
◆瓶詰数:NC
フランソワ・マルトノ FRANÇOIS MARTENOT『CHARMES-CHAMBERTIN Chartron et Trébuchet 2018年』 (17.0/20満点)
◆醸造:約8℃で発酵前低温マセラシオン後、クラシックな温度調節可能なステンレスタンクで約3週間醸造。ピークの発酵温度30℃前後。発酵後マセラシオン25℃
◆熟成:マロラクティック発酵後、8〜16ヵ月間樽熟成。新樽比率70~80パーセント
◆瓶詰数:297本
FRANÇOIS MARTENOT『CHABLIS GRAND CRU Bougros Chartron et Trébuchet 2019年』 (17.5/20満点)
◆醸造:空圧式プレスで直接プレス。48時間冷温で滓を沈殿させた後、アロマを保つためにタンクと樽を使い、16℃から20℃の低温で伝統的な醸造方法で発酵させる
◆熟成:樽とタンクで8~16ヵ月間、定期的にバトナージュを行いながら澱とともに熟成。新樽比率70~80パーセント
◆瓶詰数:1930本
プロスペール・モフー PROSPER MAUFOUX『CRIOTS-BÂTARD-MONTRACHET 2019年』 (16.5/20満点)
◆醸造:収穫後すぐに空気圧式プレス機で全房プレス。24時間、12℃で滓下げした後、樽に移しアルコール発酵とマロラクティック発酵を行う
◆熟成:フレンチオーク樽で16ヵ月間熟成、新樽比率40パーセント
◆瓶詰数:NC
ウイリアム・フェーヴル WILLIAM FEVRE『CHABLIS GRAND CRU Bougros 2019年』 (17.0/20満点)
◆醸造:アルコール発酵とマロラクティック発酵が自然に進むように、空圧式プレスを使って短時間で圧搾し必要な細かい澱を十分に残す。平均5年使用のフレンチオーク樽で60パーセント、残り40パーセントはタンクで発酵
◆熟成:細かい澱の上で計16ヵ月間熟成
◆瓶詰数:NC
ルイ・モロー LOUIS MOREAU『CHABLIS GRAND CRU Valmur 2019年』 (16.5/20満点)
◆醸造:自生酵母を使い、100パーセントステンレタンクで15~18日間、18℃でアルコール発酵。その後、20℃で自然にマロラクティック発酵
◆熟成:ステンレスタンクで澱とともに18〜20ヵ月間熟成
◆瓶詰数:3209本
LOUIS MOREAU『CHABLIS GRAND CRU Vaudésir 2019年』 (16.5/20満点)
◆醸造:土着酵母を使い、100パーセントステンレタンクで15~18日間18℃でアルコール発酵。その後、20℃で自然にマロラクティック発酵
◆熟成:ステンレスタンクで澱とともに18〜20ヵ月間熟成
◆瓶詰数:2301本
シモネ・フェーヴル SIMONNET-FEBVRE『CHABLIS GRAND CRU Blanchot 2019年』 (15.5/20満点)
◆醸造:50パーセントをステンレスタンクで、50パーセントを1~2年使ったオーク樽で発酵
◆熟成:澱とともに15~18ヵ月間熟成
◆瓶詰数:NC
SIMONNET-FEBVRE『CHABLIS GRAND CRU Les Preuses 2019年』 (16.5/20満点)
◆醸造:100パーセントステンレススタンクで醸造
◆熟成:澱とともに15~18ヵ月間ステンレスタンクで熟成
◆瓶詰数:NC
ジャン・マルク・ブロカール JEAN-MARC BROCARD『CHABLIS GRAND CRU Les Preuses Julien Brocard 2019年』 (16.5/20満点)
◆醸造:空圧式プレス機で圧搾し、滓下げ後、温度コントロールしながらアルコール発酵
◆熟成:マロラクティック発酵を行い、卵形のコンクリートタンクと樽を使用して熟成
◆瓶詰数:NC
JEAN-MARC BROCARD『CHABLIS GRAND CRU Vaudésir 2019年』 (15.5/20満点)
◆醸造:空圧式プレス機で圧搾。アルコール発酵後、マロラクティック発酵
◆熟成:澱とともに18ヵ月間樽で熟成
◆瓶詰数:NC
J.モロー・エ・フィス J.MOREAU & FILS『CHABLIS GRAND CRU Valmur 2019年』 (15.5/20満点)
◆醸造:60%パーセントをステンレスタンク、40パーセントを樽で発酵
◆熟成:澱とともに16ヵ月間熟成
◆瓶詰数:3500本
J.MOREAU & FILS『CHABLIS GRAND CRU Les Clos 2019年』 (15/20満点)
◆醸造:50パーセントをステンレスタンク、50パーセントを樽で醸造
◆熟成:澱とともに16ヵ月間熟成
◆瓶詰数:3110本