ムートン・ブランドの入り口となるパスポートワイン

ボルドーの魅力は格付けシャトーだけではない。世界のワイナリーのお手本になるような「パスポートワイン」も生産されている。パスポートワインとは、初心者にとってはワインの世界の入り口となるワイン、愛好家にとっては特定のブランドに入門するためのゲートとなるワインを指す。「ムートン・カデ」はその代表であり、多くの銘醸ワインを生産する「バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド」という世界的なブランドの顔となる存在なのだ。ワインを飲む人で、ムートン・カデのボトルを見たことがないという人はほとんどいないだろう。

誕生は1930年。シャトーの自家元詰めをはじめとする、さまざまなアイデアを打ち出したフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵の先見の明から生まれた。特権階級向けに限られていた高品質のボルドー・ワインを、多くの人々に楽しんでもらおうという狙いだった。

その着想は市場に受け入れられ、ほぼ1世紀を経て、今では100を超す国々に輸出され、世界的に有名なブランドワインとなった。国際市場への拡大は、1950年代に始まり、イギリスに続いて、60年代にはアメリカ市場で発売された。羊のイラスト(2004年、フィリピーヌ・ド・ロスチャイルド伯爵夫人による創作)をラベルにあしらったワインは、ボルドー・ワインの代名詞になったと言ってもいいだろう。

1500ヘクタールに250軒パートナーの栽培農家との絆

画像: 1500ヘクタールに250軒パートナーの栽培農家との絆

人気が広がった背景には、フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵から、娘のフィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人、現在の3人の兄弟まで、時代に合わせて品質向上を図ってきたオーナーたちのたゆまぬ努力がある。最初の節目は93年にジロンド県サンローラン・メドック村に開設した最新のワイナリーである。個別アペラシオンのテロワールにフォーカスするシャトー・ワインと違って、ボルドーのテロワール全体を表現するムートン・カデには、各地に存在するパートナーの栽培農家との緊密な関係が欠かせない。

ブドウは、パーセルごとに収穫し、醸造している。ムートン・カデのワインメーカーたちは、毎日、畑や醸造現場に足を運び、ワインの状態を観察。すべての過程において醸造の進み具合を確し、長年の経験と専門知識に基づいて助言も与える。醸造を経た後は、区画ごとにテイスティング。テロワールや品種ごとの個性を尊重し、ブレンディングを行う。

時間をかけ手間暇をおしまず、真摯な姿勢で作業を進めるからこそ、ヴィンテージの特徴を表現し、またブランドを代表するワインが出来上がるのだ。1500ヘクタールを超すブドウ畑とそれを栽培する約250のパートナー、そして7人のムートン・カデのワインメーカーが、ムートン・カデの最大の強みと言っていいだろう。彼らの手作業による緻密な仕事があってこそボルドーのテロワールの豊かさを表現できるのだ。

 現在の消費者は、ワインの品質だけでなく、生産過程にも関心を払っている。サステイナブル(持続可能)なワイン造りが行われているかどうかは重要な課題だ。その点も、ムートン・カデと栽培農家の間で、共通の問題意識を持って取り組んでい ムートン・カデのワイナリーで消費されるガスと電気は再生可能なエネルギー源から供給されている。2021年にソーラーパネルを設置して、エネルギーは自給自足し、二酸化炭素排出量の削減に努めている。ワイン造りで大量消費される廃水の処理、廃棄物のリサイクルにも注力している。

サステイナブルなワイン造りに注力。全契約農家がHVE認証を取得

一方、ムートン・カデから要求される、環境に配慮するための厳しい条件に応えるために、 パートナー契約を結んでいる栽培農家ではCMR(発がん性、変異原性、生殖毒性)に分類される農薬を使用していない。2020年に全パートナー契約農家のブドウ園がH V E(Haute Valeur Environnemental = 環境価値重視)の認証を取得した。除草剤の段階的な廃止を2019年から始めて、年間25%の削減を目指している。

美しい土地を次世代に引き継ぐのは企業の社会的な責任の一つ。ムートン・カデは地球にやさしいワイン造りを先進的に行ってきたと言っていいだろう。
 

新世界を中心に、各国に有名なブランドワインが存在している。ムートン・カデは世界で最高の高級ワイン産地であるボルドーを象徴するブランドでもあるのだ。

「ムートン・カデ」ワインメーカー、オフェリー・ミショーさんからのメッセージ

画像: 「ムートン・カデ」ワインメーカー オフェリー・ミショーさん

「ムートン・カデ」ワインメーカー
オフェリー・ミショーさん

「『ムートン・カデ ルージュ』は、ボルドー主要品種の3種類のブドウがブレンドされたワインです。まず主体であるメルロは、表現力豊かな果実味と心地いい丸みをワインにもたらします。そしてカベルネ・フランは、軽くスパイシーなアロマをブーケに添え、カベルネ・ソーヴィニヨンは、柔らかなタンニンでワイン全体の輪郭をはっきりとさせます。この3種類それぞれの品種の個性を踏まえてブレンド比率を吟味することにより、口の中で果実味が広がるのです。ムートン・カデは、果実味に満ちた丸みのある上品な味わい、柔らかなタンニンのストラクチャー、そしてバランスのとれたエレガンスを表現する奥ゆかしい甘さを備えた心地いいワインです」

画像: 『ムートン・カデ ルージュ 2019年』(左) (HVEラベル) 希望小売価格:1815円(税込) 『レゼルヴ・ムートン・カデ・ポイヤック 2017年』(右) 希望小売価格:5500円(税込)

『ムートン・カデ ルージュ 2019年』(左)
(HVEラベル)
希望小売価格:1815円(税込)
『レゼルヴ・ムートン・カデ・ポイヤック 2017年』(右)
希望小売価格:5500円(税込)

「フランス料理らしいお料理との組み合わせをご紹介しますね。ここボルドーはフランス南西部にあり、美味しい鴨が育てられているので有名です。そこで、私が日本の皆さんに紹介したい大好きなペアリングは『鴨のアッシパルマンティエ』。これは家庭料理としてフランスで親しまれているジャガイモとひき肉のグラタンで、これに鴨肉を使ったものはムートン・カデ ルージュと組み合わせると最高です!」

text by Akihiko YAMAMOTO

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