カリフォルニアの「シュレーダー・セラーズ」が造る『ダブル・ダイヤモンド』が、『ワイン・スペクテイター』の2022年のトップワインに選ばれ名実ともにナパ・ヴァレーのトップに立った。
アメリカのワイン雑誌『ワイン・スペクテイター』の年間トップ100は、テイスターが試飲した世界中のワインから選ばれる。品質だけでなく、お買い得度や入手のしやすさに、興奮度も選定基準となる。つまり、愛好家が飛びつきたくなるようなワインなのだ。いくら高品質でも、とてつもなく高価だったり、市場に見つからなければ、消費者の手に届かない。
『ダブル・ダイヤモンド』の価格はアメリカで80ドル、日本では1万4080円。ちょっと背伸びすれば手に入る。いや、高騰を続けるナパ・ヴァレーのワインの中では、お買い得とさえ言えるだろう。生産量は1万ケース。お買い得と言う一番の理由は、このワインがナパで格付けをしたら、”グラン・クリュ”間違いなしの「ト・カロン・ヴィンヤーズ」のブドウ主体で造られているからだ。
ト・カロンの畑は、「コンステレーション・ブランズ」と「ロバート・モンダヴィ」が所有する。この畑はオークヴィルにあり、水はけが良い土壌。サン・パブロ湾から午後に流れ込む冷気が、ブドウに酸と熟した果実の自然なバランスをもたらす。
手の届く価格で」“グラン・クリュ”を味わう
「シュレーダー・セラーズ」のワインメーカーは、ナパのトップを行くトーマス・リヴァース・ブラウン氏。彼がシュレーダーで造るフラッグシップワインは、メーリングリストかオークションでしか手に入らない。フラッグシップの『オールド・スパーキー』は極少量生産で、日本では20万円で売られているワインだ。
今回トップワインに選ばれたダブル・ダイヤモンドは若木を使うことで、早くから楽しめるワインに仕上げている。世界のトップを行くナパのカベルネ・ソーヴィニヨンの片鱗が味わえるのだ。ボルドー格付けシャトーのセカンドワインと同じ発想だ。ワイン・スペクテイターは「品質と価格の説得力のある組み合わせ」をトップに選んだ理由に挙げている。
シュレーダーのワインは、今まで『ワイン・アドヴォケイト』『ワイン・スペクテイター』、ジェブ・ダナック、ジェームズ・サックリングなどの雑誌、評論家から37回の100点満点の評価を得ている。そして、今回紹介したダブル・ダイヤモンド2019はワイン・スペクテイターで94点を獲得した。愛好家が飛びつかないわけがない。
text by Akihiko YAMAMOTO