広大な土地に点在する65から成るワイン産地で、多種多様なワインが生まれるオーストラリア。旧世界の醸造技術をベースに、近代的なブドウの栽培や醸造技術が発達したことで、独自の魅力を確立させた。その実力を証明するのが、昨年、さまざまなワインコンペティションで、多くのオーストラリアワインが高評価を獲得していることだ。
世界最大級で権威あるワインコンテストの一つ「デキャンタ・ワールド・ワイン・アワード」。その中で2023年の最高賞「ベスト・イン・ショー」に選出されたワインをみると、10銘柄がオーストラリアワインだ。フランスやイタリア、スペインを抑えて受賞数は最多を誇る。
また、世界のスパークリングワインに特化したコンペティション「シャンパーニュ&スパークリング ワイン ワールド チャンピオンシップ 2022」では、シャンパーニュ以外の産地で初めてタスマニア産のスパークリングワインが「World Champion Library Vintageトロフィー」を獲得するという快挙を達成。ほかにもワイン市場に大きな影響を与える「インターナショナル ワイン チャレンジ 2023」ではクナワラのカベルネ・ソーヴィニョンが「インターナショナル・ヴァラエタル・トロフィー」を獲得するなど、数々のオーストラリアワインが高い評価を受けている。
Decanter World Wine Awards 2023/Best in Show | |||||
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ワイナリー名 | ワイン名 | 州 | 地域 | 品種 | 輸入元 |
Brokenwood Wines | ILR Reserve Semillon 2017 | New South Wales | Hunter Valley | Semillon | 山田酒店 |
Domaine Naturaliste | Rebus Cabernet Sauvignon 2020 | Western Australia | Margaret River | 91% Cabernet Sauvignon, 6% Merlot, 3% Cabernet Franc | GRN |
Evans & Tate | Redbrook Reserve Cabernet Sauvignon 2018 | Western Australia | Margaret River | Cabernet Sauvignon | 未輸入 |
Gatt Wines | Riesling 2017 | South Australia | High Eden (Eden Valley) | Riesling | ウルトラチャンス |
Heirloom Vineyards | Alcalá Grenache 2022 | South Australia | McLaren Vale | Grenache | コロニアルトレーディング |
House of Cards | Ace of Spades Chardonnay 2022 | Western Australia | Margaret River | Chardonnay | 未輸入 |
Jacob's Creek | Johann Shiraz-Cabernet | South Australia | Barossa Valley | 61% Shiraz, 39% Cabernet Sauvignon | ペルノ・リカール・ジャパン |
Morris | Cellar Reserve Grand Muscat NV | Victoria | Rutherglen | Muscat | 未輸入 |
Penfolds | Reserve Bin A Adelaide Hills 2021 | South Australia | Adelaide Hills | Chardonnay | 日本リカー |
Wirra Wirra | Chook Block 2019 | South Australia | McLaren Vale | Shiraz | 未輸入 |
Champagne & Sparkling Wine World Championship/World Champion Library Vintage | |||||
Arras | Museum Release Blanc de Blancs 2001 | Tasmania | Tasmania | Chardonnay | ファームストン |
International Wine Challenge 2023/International Cabernet Sauvignon Trophy | |||||
Paragon Wine Estates | Riddoch The Pastoralist Coonawarra Cabernet Sauvignon 2021 | South Australia | Coonawarra | Cabernet Sauvignon | 未輸入 |
高い評価の秘密
オーストラリアは、その独特な気候と地形により、独自のワインの世界を育んできた。65のワイン生産地で、100種類以上のブドウが栽培され、自由なワイン造りが行われている。今回のこの高評価を受け「ワインオーストラリア」の日本担当マネジャーであるローズマリー・マクドナルドさんはこう話す。
「オーストラリア大陸は、ヨーロッパがすっぽり入るほど広大で、幅広い多様な気候と風土に恵まれています。そのため多くのブドウ品種が育ち、伝統的な造りとともに革新的なワイン造りも積極的で、フードペアリングに最適なワインが数多くそろいます。それがオーストラリアワインの魅力です」
世界で再注目される五つのワイン産地
ここで、今回賞を受賞したワイナリーが所在する五つの産地のワインの特徴を簡単に紹介しておこう。まずオーストラリアワイン発祥とされるニュー・サウス・ウェールズ州。なかでもハンター・ヴァレーでセミヨンに力を入れており、 “ハンター・セミヨン”と呼ばれる辛口でフレッシュなワインが有名だ。セミヨン単一品種で造られ、生産者のスタイルの違いが味わいにも表現され、セミヨンの奥深さがわかる。熟成するとゴールデン色になり、ナッツ、ハチミツやストローのアロマも特徴的。
次はメルボルン都市と近隣のワイン産地、ヤラ・ヴァレーとモーニントン・ペニンシュラで知られるヴィクトリア州だ。この州でユニークなのが、北東部のラザグレーン。20世紀初頭に輸出が多かった名残で今も酒精強化ワイン造りが盛んだ。スイーツに合うのデザートワインなど、個性的なスタイルで評価されている。
続いてオーストラリア大陸の南中央に位置し、生産量が最も多い南オーストラリア州。ここは地質学的にも多様な土壌でも知られ、樹齢100年を超えるような古木も見られる。海沿いのマクラーレン・ヴェイルは、海風による冷涼な影響がある地中海性気候のおかげで高品質のシラーズやカベルネ・ソーヴィニョン、グルナッシュ、またはフィアーノやテンプラニーリョといった新興品種などが造られる。
そしてタスマニア州。冷涼気候のタスマニアではエレガントな酸のシャルドネとピノ・ノワールがよく育ち、特にスパークリングワインはフードペアリングに抜群の相性をみせる。フランスのシャンパーニュ地方に近い気候や生育条件があり、伝統的製法で造っているタスマニア産スパークリングワインはオーストラリアの最上級クラスとなる。
最後、西オーストラリア州は、オーガニックやビオディナミによる栽培が盛んな地だ。オーストラリアを代表する産地の一つマーガレット・リヴァーは水はけの良い砂混じり土壌でヨーロッパスタイルのワインが主流。カベルネ・ソーヴィニョンはカシスとブルーベリーの黒系果実や月桂樹の葉のニュアンスが感じられ、複雑な味わいのワインに仕上がる。
日本市場におけるオーストラリアワインの拡大を目指して
オーストラリアのワイナリーと日本の輸入者・食品関連企業のビジネス機会の拡大やプロモーションをサポートしているのが「オーストラリア大使館商務部」だ。
今回の結果について、参事官(商務)のマレイ・スペンス氏は「ワイン造りを心から楽しむ勤勉なワイナリーが丹精込めた魅力溢れるワインをご紹介していますが、昨今、さまざまな賞で評価されていることは、オーストラリアワインの品質や独自のスタイルが世界中で認められてきたことの現れです。多くの方に世界が認めたオーストラリアワインを楽しんでいただきたいです」と語る。
今回、紹介した受賞ワインやヴィンテージ違いのワイン、同品種の別ワインはすでに日本で輸入販売されている。また、未輸入のブランドは日本での輸入企業を探しているため、新規ワインブランドの開発を検討している企業は「オーストラリア大使館商務部」までお問い合わせを。
問い合わせ先:オーストラリア大使館 商務部(Austrade)
オーストラリアの商品・サービスの輸出促進、対豪投資のプロモーションを行う政府機関。日本企業とオーストラリア企業のビジネス機会の創出に取り組んでいる。
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協力:オーストラリア大使館商務部
text by Go FUKUSAKI