ブルゴーニュの名門「ルイ・ジャド」社から、社長のトマ・セテー氏とマネジングディレクターのチボー・ガジェ氏が来日。全9アイテムのワインをテイスティングしながら、気候変動に関する取り組みや近年の作柄について語った。
ブルゴーニュの銘醸「ルイ・ジャド」
ネゴシアンとしてブルゴーニュ・ワインの取引に関わる一方で、総面積約240ヘクタールのブドウ畑を所有する「ルイ・ジャド」社。コート・ドール地区にある自社畑の多くはグラン・クリュとプルミエ・クリュである。
ピエール・アンリ・ガジェ前社長は、1996年にボジョレーの「シャトー・デ・ジャック」、2008年にプイィ・フュイッセの「ドメーヌ・フェレ」を取得し、さらに13年にはアメリカ・オレゴン州に新ワイナリー「レゾナンス」を立ち上げ、メゾンの発展に貢献してきたが、昨年末、30年間の職務を完遂。トマ・セテー氏がバトンを引き継いだ。
「モエ・ヘネシー」「シャルル・エドシック(EPIグループ)」「ドメーヌ・ブシャール・ペール・エ・フィス」および「ドメーヌ・ウィリアム・フェーブル」のマネジングディレクターを経て、今年1月、社長に就任したセテー氏は、財務アナリストとしての経験も豊かだ。
新社長の抱負として、「メゾンの資産を活用し、30年、50年、100年を経ても、ルイ・ジャドのワインを多くの方々に楽しんでもらうための努力をしたい」と語った。
会場となった西麻布「オーベルジュ・ド・リルトーキョー」では、『シャブリ セリエ・デュ・ヴァルヴァン2021年』と、新商品『オスピス・ド・ボーヌ ボーヌ・プルミエ・クリュ ダーム・オスピタリエール 2020年』のほか、フリーテイスティングで7アイテムが供され、チボー・ガジェ氏が土地の個性を反映させた各ワインについて解説した。
世界のワイン関係者が問題視している気候変動に関する質問には「一歩、二歩下がって考える必要があり、性急な判断はしたくない。時間をかけ、自然と向き合いながら対応していくことが大事だと考えている。今のところ、ブドウ畑のピノ・ノワールやシャルドネは環境に順応しており、違う品種に植え替えたとしても、ピノやシャルドネに取って代わるものはないと思っている」との答えを返してくれた。
昨今、気象状況が悪く、雹害や霜害などで収穫量の減少が気になるブルゴーニュ・ワインだが、セテー社長とガジェ氏は日本のブルゴーニュファンに向けて「収量減になった2021年に比べ、22年は量と質ともに素晴らしく、23年は語るには少し早いが、霜害がなかったのでかなり良い収穫年になると確信している」と言及。明るい話題で締めくくった。
text & photographs by Fumiko AOKI
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