シャンパーニュのマレイユ・シュル・アイ村を拠点とする「ビルカール・サルモン」の6代目アントワン・ローラン・ビルカール当主が、満を持してデビューさせた『キュヴェ・ニコラ・フランソワ2008年』と『ル・クロ・サンティレール2005年』についてオンラインで解説した。
ビルカール・サルモンならではのアロマ抽出
1818年から家族経営を守り続けているシャンパーニュメゾン『ビルカール・サルモン』は、自社畑80ヘクタールと、220へクタールに及ぶ40の契約畑から、年間250万本のシャンパーニュを生産している。
アントワン氏は開口一番、ビルカール・サルモンのナチュラルなアロアについて触れ、「3年前から導入している低温発酵は14度がポイントだ」と語った。
収穫したブドウの温度は通常20度なので、品質を維持するために12時間かけて10度に保ち、静置する。メゾン独自の酵母で発酵をスタートさせるが、この時は12~13度。温度管理できる50ヘクトリットルのタンクで25~30日かけて低温発酵させることが大事であり、「温度は最大で14度。これをキープし続けることで、ナチュラルなアロマが抽出できる」と力説した。
飲み手を魅了するヴィンテージ
今回発売した2アイテムは、メゾン創業者の名を冠した『キュヴェ・ニコラ・フランソワ2008年』と、フラッグシップアイテムの『ル・クロ・サンティレール2005年』である。
キュヴェ・ニコラ・フランソワの最新ヴィンテージ2008年の収穫は、9月2日から始まった。シャルドネの秀逸年で酸味はフレッシュ、マロラクティック発酵は30パーセントだけ実施している。容量に関しては、世界的な成功と評価を得た『エリザベス・サルモン・ロゼ2008年』と同じく、キュヴェ・ニコラ・フランソワ2008も、750ミリリットルと1.5リットルを同時発売した。2008年ヴィンテージは21世紀のグレートヴィンテージだけに、「レギュラーサイズなら30年の熟成が可能、マグナムならそれ以上」とアントワン氏も自信をのぞかせた。
ル・クロ・サンティレール2005年は、1995年の初ヴィンテージから数えて8番目のリリースだ。ビルカール・サルモンでは、暖かくドライで、典型的なヴィンテージだった2006年を、昨年、一足早く発売した。
「2005年は暑くて湿気の多い年だったが、2006年より1年長くシュル・リーさせておく必要性があった」とアントワン氏。
発酵温度17~18度、オーク樽100パーセントで醸造、ノンマロラクティック発酵&ノンフィルターのル・クロ・サンティレールは、15年間じっくり熟成させた旨味を最大限発揮させたシャンパーニュ。飲み手を魅了する要素に溢れている。
text & photographs by Fumiko AOKI
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