南フランス、ラングドック地方の最北端に位置するAOCピック・サンルー(Pic Saint-Loup)の4軒の栽培家(Chemin des Rêves、Château Lancyre、Château Boisset、Domaine Pech Tort)がパリに集まり、レストラン『グラン・クール』でジャーナリスト向けに試飲昼食会を開いた.

画像: パリで開催された試飲昼食会で挨拶するAOPピック・サンルーのブノワ・ヴィオ会長

パリで開催された試飲昼食会で挨拶するAOPピック・サンルーのブノワ・ヴィオ会長

ピック・サンルーのテロワールと特徴

ピック・サンルーのアペラシオンは地中海沿岸から30㎞ほど内陸部にあり、ほとんど手つかずの自然の中に、伝統、歴史を刻む文化遺産が点在している。アペラシオンを持たないブドウ畑を含めた作付面積は約5400ヘクタール。AOP ピック・サンルーはそのうちの約1500ヘクタール。83軒の家族経営栽培家(生産の60パーセント)と三つの協同組合(生産の40パーセント)が17カ村で活動している。平均生産量は約600万本。1985年にVDQSからAOCコトー・ド・ラングドックに昇格し、2017年産から独立した村名アペラシオン、AOP Pic Saint Loupとして認可された。赤(生産の90パーセント)とロゼ(同10パーセント)がAOPとして認められており、白はAOCコトー・ド・ラングドック。

画像: ピック・サンルーのテロワールと特徴
画像: モンプリエから20㎞ほど北上した場所にあるピック・サンルーのブドウ畑

モンプリエから20㎞ほど北上した場所にあるピック・サンルーのブドウ畑

主に石灰質土壌のピック・サンルーのブドウ畑は、ガリーグ(低木の茂み)とマツ林が連なる景観の中に広がっている。大陸性の気候と地中海性の気候が混じりあい、涼しい春の後、暑く乾燥した夏がやってくるが、ラングドックでも最も雨量が多く、年間平均1000mmの降水量があるため、土壌に必要な水分が確保され、干ばつの影響を最小限に抑えることができる。また、地形の関係でミストラルの強風からも守られている。さらに、昼夜の寒暖差が大きく、これによって葡萄の最適な成熟が促進され、豊かでバランスの良いワインがもたらされる。こうした特異な気候条件によって形作られるテロワールの特長がピック・サンルーにはある。

画像: パリのレストラン『グラン・クール』のテラスで行われた試飲会

パリのレストラン『グラン・クール』のテラスで行われた試飲会

印象に残ったワイン

ロゼは2023年産を、赤は2022年産と幾つか古いミレジムを試飲した。ロゼはシラーが主要品種で、最低30パーセント使用する必要がある。これに、グルナッシュ、ムールヴェードル、サンソーなどをブレンド。比較的軽く、新鮮で飲みやすいものが多い。赤は少なくともシラーを50パーセント使用することが義務付けられている。加えて、グルナッシュ、ムールヴェードル、カリシャン、サンソーなどが使われる。熟成期間は平均9カ月。中には12カ月から24カ月熟成するものもある。

試飲した2022年産の赤のボトルの中に、果実味があり、タンニンが溶けていて心地いいものが何本かあった。特に、ドメーヌ・ペッシュ・フォール『Folle Passion』、ドメーヌ・クラヴェル『Bonne Proche』、シュマン・デ・レーヴ『Gueul de Loup』が印象に残った。また、シャトー・ボワセ『Mon Père 2019年』もよく熟成していて面白かった。パリのワイン専門店での一般消費者向け平均価格は20€。

画像: 毎年6月にワイン、ガストロノミー、ツーリスムを組み合わせた催しが開かれる

毎年6月にワイン、ガストロノミー、ツーリスムを組み合わせた催しが開かれる

ワインイベント「レヴィーニュ・ビュイッソニエール」

ピック・サンルーでは毎年6月の第2週末に「レヴィーニュ・ビュイッソニエール」と題する催しを開催している。これはグルメな立ち寄りスポットが点在するルートをたどり、誰もが自分のペースでワインを味わい、料理を発見し、ワインメーカーに会い、風景を鑑賞することができるもので、各地から多くのワイン、ガストロノミー愛好家が集まるワインイベントだ。

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