アルザス・ルファック村のモノポール畑「クロ・サン・ランドラン」の所有者として知られる「ドメーヌ・ミュレ」は、このほど新たに販売を開始した七つのキュヴェの紹介を行った。
『シルヴァネール 2022 クロ・サン・ランドラン キュヴェ・オスカー』
SYLVANER 2022 Clos Saint Landelin Cuvée Oscar
このキュヴェは、当主ヴェロニックとトマ兄妹の祖父で、シルヴァネールの愛好家だったオスカーにちなんで名付けられた。
平均樹齢40年、すべて手摘み。2022年9月10日と13日に収穫。収穫量は28hl/ha。自生酵母で発酵後、細かいオリと共に熟成。残糖98g/L、酸度(酒石酸換算)7.8g/L、アルコール度数10.5%。
白い花やハーブ、柑橘のアロマが感じられ、残糖と素晴らしい酸、心地よいミネラル感が調和した完成度の高いシルヴァネール。今飲んでも楽しめるが、熟成によってさらに深みが増すだろう.。
『リースリング2022 コート・ド・ルーファック』
RIESLING 2022 Côte de Rouffach
「コート・ド・ルファック」はアルザスで認められている11の村名付きアペラシオンの一つ。ヴォージュ山脈に守られた東向きから南東向きの日当たりの良い丘陵斜面で、並外れた日照量が特徴。石灰岩を主とする地層が良好な排水性を確保し、リースリングやピノ・グリ、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・ノワールに適したテロワール。
平均樹齢45年、すべて手摘み。2022年は9月8日と12日に収穫。収穫量は35hl/ha。自生酵母で発酵後、細かいオリと共に熟成。残糖1g/L、酸度(酒石酸換算)8.1g/L、アルコール度数13%。オーガニック・ビオディナミ認証ワイン。
明るく輝く黄金色。熟した柑橘と花のニュアンスに、果実味とミネラル感が調和し、充実した余韻が感じられる。
『リースリング 2021 クロ・サン・ランドラン』
RIESLING 2021 Clos Saint Landelin
「クロ・サン・ランドラン」はルファック村の渓谷の出口に位置する急斜面の段々畑。南向きで一日中素晴らしい日照を享受でき、北風と南西風によりブドウの健康状態が保たれる。土壌は泥灰石灰質で小石が多く、下層土は石灰質の礫岩で形成されている。
リースリングの植樹密度は10000本/ha、平均樹齢49年。すべて手摘み収穫で、2021年は10月12日に収穫。収穫量は12hl/ha。自生酵母で発酵後、細かいオリと共に熟成。残糖2g/L、酸度(酒石酸換算)7g/L、アルコール度数13.5%。オーガニック・ビオディナミ認証ワイン。
きわめて上質で充実した内容のワイン。柑橘系の心地よい香りと熟した果実の厚みのある味わいに、しなやかで上品な余韻が長く続く。アルザスリースリングのお手本となるような高貴なスタイル。
『ゲヴュルツトラミネール 2022 クロ・サン・ランドラン』
GEWURZTRAMINER 2022 Clos Saint Landelin
平均樹齢45年、すべて手摘み収穫。2022年は9月20日に収穫。収穫量は12hl/ha。自生酵母で発酵後、細かいオリと共に熟成。残糖44g/L、酸度(酒石酸換算)5.4g/L、アルコール度数13%。オーガニック・ビオディナミ認証ワイン。
ゲヴュルツトラミネールの比類なきアロマは多くの人を魅了するが、時に重く、フレッシュさに欠けることがある。ドメーヌ・ミュレのゲヴュルツトラミネール2022は残糖44g/Lと濃縮しているが洗練されており、柑橘やマンゴ、トロピカルフルーツなどの魅惑的な余韻が感じられる。
『ピノ・ノワール 2022 クロ・サン・ランドラン』
PINOT NOIR 2022 Clos Saint Landelin
平均樹齢45年、すべて手摘み収穫。2022年は8月30日に収穫。収穫量は29hl/ha。22%が全房マセラシオン。500L樽で熟成(新樽30%)。残糖1g/L未満、酸度(酒石酸換算)4.6g/L、アルコール度数13%。オーガニック・ビオディナミ認証ワイン。
地球温暖化により、アルザスでも完璧に熟したブドウを毎年収穫できるようになり、特にピノ・ノワールがその恩恵を受けている。ドメーヌ・ミュレのピノ・ノワールは樽を使ったブルゴーニュスタイル。サクランボの美しい香りに樽のニュアンスがバランスよく溶け込み、他と一線を画す個性を持つ。滑らかな口当たりとコク、果実味とフレッシュさ、繊細な味わいが絶妙に調和し、余韻には心地よいスパイスが感じられる。
『リースリング 2020年 セレクション・ド・グラン・ノーブル クロ・サン・ランドラン』
RIESLING 2020 Sélection de Grains Nobles Clos Saint Landelin
植樹密度は10000本/ha、平均樹齢50年。すべて手摘み収穫で、2020年は9月15日に収穫。収穫量は20hl/ha。自生酵母で発酵後、細かいオリと共に熟成。残糖203g/L、酸度(酒石酸換算)10g/L、アルコール度数9%。オーガニック・ビオディナミ認証ワイン。
「セレクション・ド・グラン・ノーブル」特有の素晴らしい黄金色の輝き。アプリコットやマンゴー、蜂蜜、オレンジピール、ジンジャーなどの複雑で魅惑的な香りが立ち上る。凝縮した果実味と上品な甘みが広がり、貴腐ワイン特有の豊潤な味わいが楽しめる。甘さは決して重くなく、リースリング特有の生き生きとした酸味が見事にバランスを保っている。余韻は長く、スパイスやミネラルのニュアンスが複雑に絡み合い、セレクション・ド・グラン・ノーブルの高貴な印象が残る。特別な機会に、食後のデザートなどとともにゆっくりと時間をかけて味わいたい逸品。
『シラー 2022年』
SYRAH2022
クロ・サン・ランドランのピノ・ノワールの区画に隣接する、泥灰土石灰岩質の0.7haの畑。地球温暖化への備えとして、2010年に実験的に植樹したシラーを醸造。アルザスの認可品種ではないため、ヴァン・ド・フランスの規格で販売。生産量は1樽(約300本)のみ。
平均樹齢12年、すべて手摘み。2022年は9月7日に収穫。収穫量は28hl/ha。古樽を使って熟成。残糖1g/L未満、酸度(酒石酸換算)6.5g/L、アルコール度数12.5%。
ドメーヌ・ミュレのアルザス産シラーは、冷涼な気候ではぐまれたブドウとは思えないほどの凝縮感と複雑なアロマが印象的。深みのあるルビー色。ブラックベリーやプラムの熟した果実香に、スミレや白コショウのスパイシーなニュアンスが重なる。滑らかなタンニンと豊かな果実味が口中に広がり、樽由来のヴァニラやトーストの風味が複雑さを与える。余韻にほのかなスパイスとミネラル感が感じられる。アルザスのテロワールとシラーの個性が融合した、他に類を見ないユニークな味わい。
グランクリュ・ヴォルブールに連なる12ヘクタールのクロ・サン・ランドランは、7世紀から続く古いブドウ園。1935年にアルフレッド・ミュレが購入し、現在は彼のひ孫であるヴェロニックとトマ・ミュレ兄妹が、28ヘクタールのドメーヌ・ミュレのフラグシップ畑として管理している。土壌は石灰質の丸石を含む泥灰土で、下層土は石灰質の玉石を含む礫岩で構成されている。2002年からオーガニック栽培を始め、2019年にビオディナミの公式認証を取得。これにより、クロ・サン・ランデランの個性的なテロワールの特色が一層浮き彫りになった。