この10年で約2.5倍も輸出が伸び、日本でも輸入量が増えているワインがある。ポルトガルのDOヴィーニョ・ヴェルデだ。ヴィーニョ・ヴェルデはポルトガル最北西にあり、スペインのリアス・バイシャスに隣接する、ヨーロッパ最大の呼称産地だ。
これほど人気が高まっている理由は「ほかのワインにはないスタイルがあるから」と、ヴィーニョ・ヴェルデワイン協会が主催するセミナーで講師を務めた別府岳則氏は話す。そのスタイルとは「すっきりして、さらりと飲める」「低アルコール」「微発泡」。世界的に進む食のライト化や健康志向にも寄り添う味わいだ。輸出先で最も多いのはアメリカ、次いでドイツ、そして日本は15位。ちなみに日本の輸入ワインではポルトガルは10位。上位10カ国で輸入量が伸びているのはポルトガルと南アフリカだけだ。
タイプについては「微発泡」をよく見かけるが、実はスティルワインもある。人気は微発泡タイプのほうだ。微発泡タイプは、かつて果実が十分な熟度が得られなかった時代、リンゴ酸が多いため瓶内でマロラクティック発酵が進んでしまい、その時に発生したガスが残ったことに由来する。
「今は栽培技術も向上し、成熟した果実が得られるため、自然発生的に微発泡になることはほとんどありません。そのため二酸化炭素を添加する方法で造ります。しかし最近はガス添加を行わず、スティルワインとして造る上級キュヴェも増えています」と別所氏。その理由は、ヴィーニョ・ヴェルデのカジュアルイメージを払拭するためと、熟成の可能性を追求する造り手が出てきているためだ。
ヴィーニョ・ヴェルデの固有品種
ヴィーニョ・ヴェルデの個性を彩る、主な品種と味わいの特徴を紹介しよう。
(白ブドウ)
ロウレイロ:フローラルなアロマ
アルバリーニョ:トロピカルフルーツの香り(カリン、モモ、バナナ、パッションフルーツ、ライチ)
アリント:キュッと引き締まった酸
トラジャドゥーラ:ボディーが備わる(黒ブドウ)
ヴィニャオン:果肉が赤色。酸が高く、タンニンが豊富
(ロゼ用黒ブドウ)
イシュパデイロ:イチゴの香りが強く漂う
ヴィーニョ・ヴェルデは白ワインのイメージが強いが、ロゼと赤も造られている。生産量は圧倒的に白が多く、86%。ロゼが8%、赤が6%となっている。
近年は樽醸造を行ったり、単一品種で造ったりなど新しい試みがなされているが、別所氏は赤ワインにも注目している。
「かつては果実味がなくてタンニンが渋く、酸味が強いという赤ワインが多かったのですが、近年は栽培、醸造技術の向上でフルーティーでタンニンが程よく、食事に合わせやすいものが造られています」
品種で最も多いのがヴィニャオンで、以前と違い赤果実の香りが豊かで酸味が程よく備わり、低アルコールで飲みやすいタイプもあるという。
フレッシュで軽やかで飲みやすい。気軽に飲めて、日常の食事にもピッタリ。世界が求めるヴィーニョ・ヴェルデを、日本料理の代表格「寿司」と合わせてみた。
マッチングの結果は次回に続く……。