「朝日町ワイン」は、朝日町の農家とともにワインを造り地域の魅力を発信してきた。近年では国内外のコンクールで上位入賞を果たすまでに成長。その高評価を支えているのが町内でも高品質なブドウを生み出す柏原地区の農家たちだ。
磐梯朝日国立公園の主峰・大朝日岳の東山麓にある「朝日町ワイン」。山形朝日農業協同組合と朝日町の共同出資による第三セクターで、立以来、地域農家と深く結び付きワイン造りを続けてきた。
「100点のクオリティーのブドウを、いかにして100点のワインにするのか。それが私たちの使命だと思っています」と、栽培醸造係長の鈴木俊哉氏。

なかでも、町内農家の約8割が手掛けるマスカット・ベーリーAは、協力して品質向上を図ってきた品種である。その成果として、2025年には「日本ワインコンクール」で『柏原ヴィンヤード遅摘み 赤 2024年』が金賞を受賞。さらにロンドンで開催された「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」をはじめとする世界3大コンクールでも『マイスターセレクションキュヴェ マスカットベーリーA 赤 2021年』が銀賞に輝く快挙を達成した。
これらのワインで重要な産地となっているのが柏原地区だ。標高約350メートルの南向き斜面に広がり、昼夜の寒暖差が大きい。
「同じ糖度でも、ほかの地区と比べて甘さのニュアンスが異なり、ねっとりとした濃縮感があります」と鈴木氏は説明する。
柏原にある四軒の農家の一人、布施秀樹氏は60アールの畑でマスカット・ベーリーAのほか、ピオーネやシャインマスカットといった生食用ブドウを栽培。マスカット・ベーリーAは平均樹齢約10年で、病気にかかりにくくするためバラ房に整え、収量を抑えながら糖度をじっくり高めていく。収穫は例年10月下旬から11月にかけて行われる。
「農家としては酸が抜けすぎているのではと思うほど糖度が高い」と布施氏は笑う。しかしかつて醸造段階で酸を和らげるのに苦心していたころに比べると、現在ではブドウそのものの味わいで、ちょうど良い酸が得られるようになったという。
「農家さんが手掛けたブドウで高く評価されるワインを造り、その成果を農家さんに還元したい」と鈴木氏。手を携えながら、さらなる高みを目指している。


ソムリエの矢田部匡克氏
【矢田部匡克ソムリエがテイスティング】
『マイスターセレクション 遅摘みマスカットベーリーA ロゼ2024年』(1826円)
味わいはまろやかで、デリケートかつ豊かな果実感と生き生きとした酸が特徴的。ピュアで透明感のある印象を与える。エレガンスと円熟味、そして淡さが共存しており、コース料理の最初から最後まで楽しめる1 本。
『柏原ヴィンヤード遅摘み赤2024 年』(1771 円)
ブドウの持ち味を素直に生かしたやさしい仕立てで、品種由来のフラネオールが美しく表現されている。フレッシュでクリアーな酸が印象的で、後味には赤ワインならではの透明感があり、飲み疲れしない。
『マイスターセレクション 遅摘みマスカットベーリーA 赤 2023年』(2486円)完熟した赤いフルーツのニュアンスが広がる。しっかりとしたストラクチャーがあり、フィネス、フレッシュさ、口当たりの調和が際立ち、上質感のある味わい。
『マイスターセレクション キュヴェ マスカットベーリーA 赤 2021年』(3960円)
黒胡椒を思わせるスパイスのほのかな香りが、南仏のシラーを連想させる。フランボワーズやプラムの華やかな香りと適度な酸味がエレガントさを引き立て、熟したフルーツの余韻が長く続く。
『マイスターセレクション バレルセレクションルージュ2023 年』(2486円)
熟した赤いベリーや凝縮感のあるプラム、スミレの豊かなアロマが広がる。口に含むとダークフルーツや滑らかなタンニンが重なり、カカオやタバコの葉のニュアンスが余韻まで続く。
※価格はすべて税込

「朝日町ワイン」
山形県西村山郡朝日町大字大谷字高野1080 番地
TEL. 0237-68-2611
https://asahimachi-wine.jp/
見学可
「朝日町ワイン」ワイナリーショップ 売れ筋TOP3

1位
『マイスターセレクション バレルセレクション ルージュ』
(税込2486円)
黒い果実の風味に、樽熟成によるエッジを効かせた個性が光る赤ワイン。

2位
『マイスターセレクション 遅摘みマスカットベーリーA 赤』
(税込2486円)
完熟した赤い果実の風味と、樽熟成のニュアンスが調和した赤ワイン。

3位
『山形マスカットベーリーA 赤』
(税込1595円)
赤い果実の風味が豊かで、心地いい味いの赤ワイン。
