シャトー・ムートン・ロートシルトは2025年12月1日、2023年ヴィンテージのラベルアートを発表した。1945年以来、ポルトガル人アーティストによる作品が使われるのは初めて。今回採用されたポルトガル人造形芸術家ジョアナ・ヴァスコンセロス氏の手になる作品「Paraíso(パライーゾ)」はポルトガル語で「楽園」を意味する。鮮やかな色彩と独創的な構図によって、ブドウの房を中心に、大地と水、太陽の光と夜の冷涼さ、そして人間の手を象徴する三角形など、偉大なワインの誕生に不可欠な要素を表現している。

アーティスト、ジョアナ・ヴァスコンセロスについて
1971年生まれのジョアナ・ヴァスコンセロス氏は、30年以上のキャリアを持つポルトガル人造形芸術家で、記念碑的な彫刻と没入型インスタレーションで知られ、極めて多様な素材を駆使した作品を制作してきた。彼女の特徴は、日常の物をその文脈から取り出し、21世紀の視点から「アーツ・アンド・クラフツ運動」(19世紀末の手仕事の価値を見直す運動)の理念を再解釈することにある。
ヴァスコンセロス氏は今回の作品制作について、次のように語っている。
「シャトー・ムートン・ロートシルトという偉大な名前に関わることができただけでなく、これまでラベルを手がけてきた傑出したアーティストたちの仲間入りができることは、特権であり大変光栄に感じています。このラベルのインスピレーションは、ブドウの房、ブドウの樹、そしてシャトー・ムートン・ロートシルトに存在するすべての自然の要素から得ました。『パライーゾ』は、完璧さ、贅沢、そして自然と人間の調和という概念に触発された作品です」

シャトー・ムートン・ロートシルトとヴァスコンセロス氏の出会い
シャトー・ムートン・ロートシルトの共同所有者であり、アート・文化活動およびアーティストとの関係を担当するジュリアン・ド・ボーマルシェ・ド・ロートシルト氏は、以前からヴァスコンセロス氏の作品を高く評価していた。2012年のヴェルサイユ宮殿での大規模展覧会に感銘を受け、最近ではマドリードのリリア宮殿での展覧会も訪れている。
ロートシルト氏は、ヴァスコンセロス氏の芸術について次のように述べている。
「ジョアナ・ヴァスコンセロスは、日常的な素材、刺繍やかぎ針編みのような伝統的な技法を用いて、記念碑的でバロック的な作品を創造しています。彼女はポルトガルの工芸の伝統を現代性の中に根付かせています。私が特に気に入っているのは、芸術と職人技のつながりです。なぜなら、シャトー・ムートン・ロートシルトは高度な職人技の成果でありながら、各ヴィンテージの個性、希少性、そして貴重さによって芸術でもあるからです」

80年続く芸術的伝統
バロン・フィリップ・ド・ロートシルトはシャトー・ムートン・ロートシルトを芸術と美の世界に融合することを望んでいた。1945年以来、各ヴィンテージのラベルは、サルバドール・ダリ、セザール、ジョアン・ミロ、マルク・シャガール、パブロ・ピカソ、アンディ・ウォーホル、ピエール・スーラージュ、フランシス・ベーコン、バルテュス、ジェフ・クーンズ、デイヴィッド・ホックニー、アネット・メサジェ、オラファー・エリアソン、ピーター・ドイグ、塩田千春、ジェラール・ガルストなど、多様な背景を持つ世界的なアーティストたちが関わり、この唯一無二の現代美術コレクションを豊かにしてきた。
これらすべての作品は、1981年にバロネス・フィリピーヌ・ド・ロートシルトによって創設された「芸術とラベル」展に集められ、2013年からはシャトー・ムートン・ロートシルトに常設展示されている。

