ロゼワインの季節がやってきた! いつでも、どこでも、何とでも合うのがロゼワインの魅力。特に昼の時間が長くなる春から夏にかけて、屋外で仲間とともに語り合う際に欠かせないのがロゼワインだ。長年ロゼワインのプロモーションに取り組んでいるプレスエージェント、“フォルス4”がこのほど8本の興味深いロゼを選び、ワイン愛好家、プレスに紹介した。

※トップ画面の写真は、試飲会を主催したフォルス4のソフィ・マルゴーさん(左)、試飲に合わせて料理を用意した伊藤太朗シェフ、ドメーヌ・ラ・シュフレンヌのセドリック・グラヴィエ氏

『シャトー・サンモール・ロゼ、エクセランス 2022年』
(Chateau Saint Maur L’excellence 2022)

「シャトー・サン・モール」は現在18ある、コート・ド・プロヴァンスの1955年格付けシャトーの一つ。ブドウ園は、サントロペから10キロメートルほど離れたコブラン村のサン・モールを含め三つ。計約100ヘクタール。かつて敷地内にあった修道院の伝統を引き継ぎ、今もブドウ園の中に残る当時の礼拝所(チャペル)を大事にしている。フランスの子供服業界で成功したロジェ・ゼルミエ氏が2011年に買収し、プロヴァンスの注目シャトーの一つとなった。

『シャトー・サンモール・ロゼ、エクセランス』はシャトー・サン・モールの代表的なロゼ。品種構成はグルナッシュ30パーセント、シラー25パーセント、サンソー25パーセント、カベルネ・ソーヴィニヨン7パーセント、ティブラン6パーセント、ロール5パーセント、ムールヴェードル2パーセント。ステンレスタンクで醸造、熟成。2022年産の生産量は13万5000本。低温*1マセラシオンにより生き生きとした果実と新鮮なアロマを保っており、心地いいミネラル感が持続する。格付けシャトーにふさわしい、堂々たる風格を持った、料理と合わせて味わう力強いロゼだ。一般消費者向け価格26€。

『ラ・ナヴィセル・ロゼ・ビオ 2022年』(La Navicelle Rosé bio 2022)

「ドメーヌ・ラ・ナヴィセル」は、トゥーロンから少し内陸部に入ったコル・ノワール山塊の北斜面に20ヘクタールのブドウ園を所有している。多様な動・植物相が織りなす生態系を尊重した*2ビオディナミ栽培を導入し、2014年にビオ栽培の公式認証を得た。ブドウ園は石英、砂岩、片岩の混じる赤土の土壌。

『ナヴィセル・ロゼ・ビオ』はグルナッシュ、サンソー、ティブランのブレンド。モモや柑橘など新鮮な果実の風味が際立つ、繊細で少しスパイシーなロゼ。IGPコート・ド・プロヴァンスで消費者向け価格17€。ドメーヌ・ラ・ナヴィセルは、美しい設備の整った七つの民宿を経営していることでも知られている。

『ラ・カリス・パトリシア・オルテリ・ロゼ 2022年』(La Calisse Patricia Ortellie Rosé 2022)

「シャトー・ラ・カリス」はプロヴァンス生まれのパトリシア・オルテリさんが1991年に購入して再建した12ヘクタールの小さなドメーヌ。1996年にエコセールのビオワイン認証を取得し、AOCコトー・ヴァロワ・アン・プロヴァンスのビオ栽培を牽引してきた。ロゼ2万本のほか白1.5万本、赤1.5万本を生産している。ヘクタール当たり35ヘクトリットルの収穫量に切り詰め、すべて手で摘み取り、木箱に入れて醸造所に運び入れる。そして、ステンレスタンクを使い、*3セニエの方法で造っている。

シラーとグルナッシュをブレンドした『カリス・パトリシア・オルテリ・ロゼ』は繊細で丸みを持つまさに“手造りの”ロゼだ。シャトーの名はエクサンプロヴァンスの銘菓、カリソンの材料となるアーモンドの畑があったことに由来するという。

『ラ・シュフレンヌ・ロゼ・ビオ 2022年』(La Suffrène Rosé bio 2022)

「ドメーヌ・ラ・シュフレンヌ」は協同組合の会員としてアペラシオン・バンドールの発展に尽くしてきた家族経営のドメーヌ。1996年に3代目のセドリック・グラヴィエ氏が引き継ぎ、醸造所を新たに建設し、自家醸造、瓶詰販売を始めた。ブドウ園は約50ヘクタール。生産は赤、白、ロゼ合わせて25万本。うち50パーセントを世界19ヵ国に輸出している。2018年に有機栽培に転換し、2021年にビオの認証を得た。生産量の約60パーセントがロゼだ。

『ラ・シュフレンヌ・ロゼ・ビオ』はムールヴェードル40パーセント、サンソー30パーセント、グルナッシュ20パーセント、カリニャン10パーセント。除梗、破砕、プレス後、約10度で48時間澱下げし、約2週間アルコール発酵。生き生きした酸を残すために*4マロラクテック発酵を止め、その後コンクリートタンクで熟成。繊細で控えめな柑橘のアロマ、赤い果実、そしてややスパイシーなニュアンス。バンドールの代表的なロゼだ。消費者向け価格18.5€。

『ル・クロ・ド・カイユ・ロゼ 2022年』(Le Clos de Caille Rosé 2022)

「クロ・ド・カイユ」はサントロペの北西3キロメートル、コート・ド・プロヴァンスの中心、アントルカスト村にある。ブドウ園面積は30ヘクタール。イタリア出身で、1950年からモナコに住み、公共事業や不動産開発で財を成したジャン・ピエール&シモーナ・マリオッティ夫妻が1992年に7ヘクタールの敷地を持つ邸宅を別荘として購入したのが始まり。その後息子のマティユ・マリオッティ氏が加わりブドウ栽培を発展させ、2019年に半地下の新しい醸造所を建設した。生産の90パーセントがロゼ、残りは白7パーセント、赤3パーセント。

『ル・クロ・ド・カイユ・ロゼ』の初ヴィンテージは2021年。2022年産はグルナッシュ50パーセント、サンソー30パーセント、シラ―10パーセント、カベルネ・ソーヴィニヨン10パーセント。淡い色合いのコート・ド・プロヴァンスの典型的なロゼ。ピュア―で新鮮な白い果実のアロマが広がる極めて心地いいワインだ。一般消費者向け価格25€。

『ラ・クルタド・ロゼ・ビオ 2022年』(La Courtade Rosé bio 2022)

「ドメーヌ・ラ・クルタッド」は1983年にアンリ・ヴィダルが地中海に浮かぶポルケロール島(1250ヘクタール)に作った35ヘクタールのドメーヌ。1997年にビオワインの正式認証を取得。2014年にエドゥアール・カルミニャック氏がドメーヌを購入し、30年来収集してきた写真、絵画、彫刻、イラストなどの現代アートコレクションを展示する現代アート美術館を敷地内に建設した。同時にビオワイン、特に自然派ワインの生産に力を入れ、注目を集めている。

『ラ・クルタド・ロゼ・ビオ』はグルナッシュ40パーセント、サンソー25パーセント、ロール20パーセント、シラ―15パーセント。淡いサーモン色で、柑橘と白桃のアロマが混じる典型的なコート・ド・プロヴァンスロゼ。生産量5000本。消費者向け価格25€。髑髏のように見えるラベルの図柄はポルケロール島、現代アート美術館の一画に置かれたマルジョカ島出身のアーティスト、ミゲル・バルセロ制作のブロンズ像『アリキャッスル』(高さ約4メートル)。

『シャトー・マイム・エリタージュ 2022年』(Chateau Maime Heritage 2022)

「シャトー・マイム」は1995年にシブラン・ガルシア家が購入したコート・ド・プロヴァンスのドメーヌ。当初は邸宅の周りに広がる16ヘクタールのブドウ園のみだったが、徐々に40ヘクタールに拡大し、20万本の瓶詰ワインを販売する家族経営のドメーヌに発展させた。特に、1998年からジェローム・バゲットの助言を受けて、テロワールを重視し、区画ごとに収穫、醸造する方法を取り入れ、ロバート・パーカーなどのから高い評価を得るようになった。さらに、2018年に多額の投資を行い、新しい醸造所を建設し、質を向上させ、繊細さ、新鮮さを兼ね備えた現代的なスタイルを確立した。法学部を中退して醸造学と栽培を学んだ2代目のジャン・ルイ・シブラン氏が現在ドメーヌを管理し、従弟のブリス・ガルシア氏が広報を担当している。

『シャトー・マイム・エリタージュ』はシャトー・マイムが生産する代表的なロゼで、グルナッシュ45パーセント、サンソー45パーセント、シラ―10パーセント。温度の下がる夜間に収穫し、除梗後低圧の空圧式プレス機で絞った質の良い一番搾りだけを16度の低温で醸造。酸を保持するためにマロラクテック発酵をブロックする。淡いソーモン色で、適度な厚みと柑橘のさわやかな酸味が心地いい。消費者向け価格17€。シャトー・マイムの名前はシャトーの敷地内にある礼拝堂に由来する。

『ル・プティ・バルタザール・ロゼ 2022年』(Le Petit Balthazar Rosé 2022)

「ル・プティ・バルタザール・ロゼ」は『ピエール・ハラン・ワインズ』がミネルヴォワのネゴシアン(ワイン商)兼瓶詰業者、『セリエ・ジャン・ダンヴェール』とパートナーシップ契約を結び生産している製品の一つ。『ピエール・ハラン・ワインズ』は1998年にモンペリエ大学醸造学部を首席で卒業したピエール・ハラン氏が2007年に設立した自家ブドウ園を持たないワイン生産販売企業。ピエール・ハラン氏は南フランスで5代にわたりワイン商を続けるファミリー出身で蓄積されたワイン商のノウハウを元に消費の動きを鋭く察知すると同時に最新の技術を使ってクオリティ・プライスの良い、競争力のある製品を市場に出すことで発展させてきた。

『ル・プティ・バルタザール・ロゼ』は、2007年に『ピエール・ハラン・ワインズ』を設立し、独自に立ち上げたブランド、“プティ・バルタザール”の一つ。アルコール度数を11度に抑え、カロリーも12センチリットル当たり87カロリーと普通のワインより20パーセント減らしている。サンソー100パーセントで造られたIGPペイドック・ロゼで、自然な味わいを得るための工夫がなされており、エレガントで軽く十分な密度と心地よさ、フルーティでコクを感じさせ心地いいロゼだ。消費者向け価格は6.8€。その質と価格のバランスに驚かされる。

*1 ブドウの果皮を果汁に浸す、醸し作業
*2 ルドルフ・シュタイナーが提唱した有機農法。天体の運行に合わせて畑作業を行う
*3 ブドウの果皮を果汁に漬け、色が付いた段階で取り除く醸造法
*4 乳酸菌により、ワインの中のリンゴ酸が乳酸と二酸化炭素に分解される現象。酸味が柔らかく、香味が豊かなワインとなる

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