ソムリエと樋口真一郎氏(髭男爵)と学ぶ、品種の勉強会がスタート!
ワイン用ブドウ品種について、基礎知識から味わい方まで、とことん学ぶ新連載。
本誌『ワイン王国 127号』にも詳しく掲載されているので、併せてご覧ください。(デジタル版はコチラから→ https://www.stereosound-store.jp/fs/ssstore/bsw_wk/wk127)
味の決め手は品種にあり!
世界で栽培されているワイン用ブドウ品種は、外見や味わいなど、それぞれ異なる特徴を持つ。その結果、造られるワインの風味は変化し、同じブドウ品種でも、畑の環境や醸造方法によって仕上がりが変わる。
連載第1回目となる今回のテーマは「カベルネ・ソーヴィニヨン」。世界各地で栽培されている「国際品種」の一つで、ピノ・ノワールと赤ワインの人気を二分する。赤ワインの代表的存在ともいえるカベルネ・ソーヴィニヨンについて、「銀座レカン」シェフソムリエの近藤佑哉氏と樋口真一郎氏と一緒に、その魅力に迫る。
カベルネ・ソーヴィニヨンのいろは
フランス、ボルドー地方原産の黒ブドウ品種。晩熟で、冷涼な産地では十分に熟成しづらいため、比較的温暖で雨量が少なく、水はけの良い場所を好む。
〈主な香り〉ブルーベリー、カシス、ブラックチェリー、ミント、針葉樹
〈味わい〉しっかりとした果実味とエレガントな酸味を持ち、豊富なタンニンが特徴。果実味が豊かでパワフルなものが多い。
パワフルでも飲み疲れしない理由
カベルネ・ソーヴィニヨンといえば「重くて渋いワイン」というイメージがあるかもしれない。しかし、樋口氏が「ワインを飲み慣れてくると力強くてパワフルな味わいに夢中になります」と言うように、カベルネ・ソーヴィニヨンは、ワイン愛好家に愛される人気品種の一つ。
具体的にどんな特徴があるのか、近藤氏に解説してもらった。
「黒系果実の凝縮したアロマに、ミントがすーっと香るのが特徴です。完熟したブドウから造られたワインは、このメントールの清涼感が際立っています。また、タンニンが豊富で、酸が高いことも特徴です。きれいな酸が引き締めてくれるからこそ、飲み疲れしないのです。」
これぞ! カベルネ・ソーヴィニヨン 6選
品種の個性がしっかりと表現された6アイテムを紹介。
造り手や産地による味わいの違いを知り、お気に入りの1本を見つけよう。
『シャトー デュルフォール・ヴィヴァン 2017年』
ブラックチェリーの甘やかな香りにメントールの清涼感。樽由来のシナモンや八角、ほのかにコーヒーのビターなニュアンスも。口に含むと滑らかできめ細やかなタンニンが心地よく、豊かな果実味と上品な酸のバランスが秀逸で、質の高さを感じる。
『テロワール・ハンター カベルネ・ソーヴィニヨン アルト・マイポ 2019年』
熟したブラックチェリーの砂糖漬けのような甘く豊かなフルーツのアロマに、ミントの香りがしっかりと重なる。口に含むとチェリーをほお張ったような豊富な果実の味わいが広がり、エレガントな酸と力強いタンニンを感じる。濃厚でパワフルな1本。
『カリテラ・レゼルヴァ・カベルネ・ソーヴィニヨン 2019年』
ブルーベリーやカシスの熟していながらも控えめな香りに、さわやかなトーンが印象的。すっきりとした果実のピュアな味わいを、きれいで骨格のある酸が支え、さらさらとした穏やかなタンニンが心地いいアフターへと導く。
『アポシック カベルネ・ソーヴィニヨン 2019年』
ブルーベリーのジャムやコンポート、チェリーパイのような煮詰めたフルーツの甘く親しみやすい香り。グラスを回すとほのかにミントやシナモンのアロマも。そこに充実したやさしいタンニンと穏やかな酸がキレを与え、全体を引き締める。
『フェニックス カベルネ・ソーヴィニヨン 2019年』
ブルーベリーやブラックチェリーのタルトのような果実香に、ユーカリを思わせるややオイリーな印象のメントールのニュアンス。パワフルな果実味が口の中に広がり、しっかりとしたタンニンときれいな酸が味わいをコンパクトにまとめる。
『高畠ゾディアック カベルネ・ソーヴィニヨン 2016年』
赤スグリや、佐藤錦を思わせるようなレッドチェリーのみずみずしい香りに、やや森のようなニュアンス。穏やかな果実味と滑らかでやさしいタンニンをきれいな酸が支え、飲みやすく繊細な味わい。樽由来の甘やかなアフターも魅力的。
きれいな酸が味わいを支える
6本のワインを試飲した感想を尋ねると「カベルネ・ソーヴィニヨンといえば、力強いタンニンというイメージだったのですが、どのワインも酸が味わいを支えていました」と樋口氏。
近藤氏は「ブドウ品種の個性を表現しながらも、テロワールや造り手の個性も感じられました」と振り返った。
本誌では、今回登場したワインのより詳しい解説や、それぞれのワインに合わせたい料理など、さらに充実した内容をお届け。近藤氏、樋口氏と一緒に、カベルネ・ソーヴィニヨンをマスターしよう!