マスカット・ベーリーAの多彩な可能性を追い求めて
「シャトー酒折」(山梨県)
「いいワインはできない」。かつてそう評されたマスカット・ベーリーAの可能性を信じ挑戦を重ねる「シャトー酒折ワイナリー」。醸造責任者・井島正義氏が歩んできた軌跡をたどる。
日本固有の品種として近年は海外からも注目されるマスカット・ベーリーA。しかしかつては、品種特性であるフォクシーフレーバー、いわゆるキャンデー香が否定的に捉えられ、不遇の時代が長く続いた。
輸入洋酒の販売を手掛ける「木下インターナショナル」が山梨県甲府市に「シャトー酒折ワイナリー」を設立した1991年当時も「マスカット・ベーリーAは食用で、ワインには向かない」という認識が一般的だったと、醸造責任者の井島正義氏は振り返る。だ...